実家を相続するとき、多くのケースで出てくるのが兄弟での相続です。
- 「兄弟で平等に相続すればいいのでは」
- 「共有名義にすれば公平なのでは」
- 「とりあえず兄弟で持っておけばいいのでは」
このように考える方もいると思います。
たしかに、兄弟で共有名義にすると、一見すると平等に見えます。
しかし、実家の共有名義はトラブルになりやすい面があります。
売るときに兄弟全員の同意が必要になったり、管理費や固定資産税の負担が曖昧になったり、次の相続で権利関係がさらに複雑になることがあるからです。
最初は「兄弟だから何とかなる」と思っていても、時間が経つと事情は変わります。
- 誰かが売りたい
- 誰かは残したい
- 誰かは費用を払いたくない
- 近くに住む人だけが管理している
このような状態になると、実家が家族の思い出の場所から、兄弟間の負担や不満の原因になってしまうことがあります。
実家は、現金のように簡単に分けられる財産ではありません。
そのため、兄弟で相続する場合は、共有にするかどうかを慎重に考える必要があります。
この記事では、実家を兄弟で相続するときに注意したい、共有名義の5つのリスクと対処法をわかりやすく整理します。
■ この記事でわかること
✓ 実家を兄弟で相続するときの注意点
✓ 共有名義で起きやすい5つのリスク
✓ 兄弟間で揉めやすい理由
✓ 共有を避けるための考え方
✓ 実家をどう分けるかの対処法
■ 結論|兄弟で実家を相続するときは共有名義の5つのリスクを確認する
結論から言うと、実家を兄弟で相続する場合、共有名義のままにするよりも、早めに方向性を決めることが大切です。
共有名義は一見平等に見えますが、次のようなリスクがあります。
- 売却に兄弟全員の同意が必要になる
- 管理費や固定資産税の負担が曖昧になる
- 売る・残す・住むで意見が分かれる
- 次の相続で権利関係が複雑になる
- 兄弟間の感情トラブルに発展しやすい
この5つを確認しておくと、兄弟で実家を相続するときに、どこで揉めやすいのか見えやすくなります。
特に大切なのは、「とりあえず共有にする」を安易に選ばないことです。
共有名義にすると、実家を売るとき、貸すとき、修繕するとき、解体するときなどに、兄弟間で合意が必要になる場面が増えます。
そのため、相続前や相続直後に、売るのか、誰かが引き取るのか、貸すのか、管理して残すのかを話し合っておくことが重要です。
実家を兄弟で相続する場合は、公平さだけでなく、将来の管理や売却まで考えて判断しましょう。
■ 住田さんの悩み

実家を兄弟で相続することになりそうです。平等にするなら共有名義がよさそうにも思えます。でも、共有にすると売るときに揉めるとか、管理費や固定資産税の負担で揉めるとも聞きます。今は兄弟仲が悪いわけではありませんが、将来まで大丈夫なのか不安です。兄弟で実家を相続するとき、何に気をつければいいのでしょうか。
■ 家守さんの整理

兄弟での共有名義は、一見平等に見えます。ただし、売却や管理の場面で揉めやすい形でもあります。特に、次の点は早めに整理しておきましょう。
- 将来売るときに全員が同意できるのか
- 誰が管理するのか
- 固定資産税や修繕費をどう負担するのか
- 誰かが住む場合のルールはあるのか
- 次の相続で権利関係が複雑にならないか
「とりあえず共有」にする前に、将来の売却、管理、費用負担まで考えておくことが大切です。
ここからは、兄弟で実家を相続するときに注意したい、共有名義の5つのリスクを順番に見ていきます。
実家を兄弟で相続するとどうなるのか
実家を兄弟で相続する場合、代表的な形のひとつが共有名義です。
共有名義とは、ひとつの不動産を複数人で所有する状態です。
たとえば、兄弟2人で実家を2分の1ずつ相続するような形です。
一見すると、平等で分かりやすいように見えます。
ただ、共有名義は「今の平等」を優先しやすい一方で、「将来の判断」を難しくすることがあります。
今は兄弟だけの話でも、年月が経つと配偶者や子ども世代まで関係してくる可能性があります。
そのため、共有名義は問題を解決したように見えて、実は先送りしているだけになることもあります。
しかし、共有名義には注意点があります。
不動産は、現金のように簡単に分けられません。
また、売却や管理の場面では、共有者同士の合意が必要になることがあります。
そのため、共有にしたあとで次のような問題が起きやすくなります。
- 売りたい人と残したい人で意見が割れる
- 管理費や固定資産税の負担が曖昧になる
- 一人だけが草刈りや見回りをしている
- 修繕や解体の判断が進まない
- 次の相続で関係者が増える
共有名義は、短期的には平等に見えても、長期的には問題が複雑になりやすい形です。
兄弟で相続する場合は、共有にする前に、将来どうするかまで考えておきましょう。
実家相続で起こりやすいトラブル全体を確認したい方は、こちらの記事も参考にしてください。
兄弟で実家を相続するときの5つのリスク
兄弟で実家を相続するときに注意したいリスクは、次の5つです。
ここから、順番に整理します。
1. 売却に兄弟全員の同意が必要になる
共有名義の実家を売却する場合、基本的には共有者全員の同意が必要になります。
兄弟のうち一人が「売りたい」と思っていても、他の兄弟が反対すれば、簡単には売却できません。
たとえば、次のような意見の違いが出ることがあります。
- 兄は売りたい
- 弟は残したい
- 姉は貸したい
- もう少し様子を見たい人がいる
- 親の思い出があるから手放したくない人がいる
このように意見が分かれると、売却の話が止まります。
特に、実家が空き家になっている場合、売却できないまま時間が経つと、固定資産税や管理費がかかり続けます。
建物も少しずつ劣化します。
共有名義にする前に、将来売る可能性があるのか、その場合に誰が判断するのかを話し合っておくことが大切です。
特に空き家になっている実家の場合、売却判断が止まっている間も、税金や管理の負担は続きます。
「売るかどうか決められない」状態が長引くほど、家の劣化や家族間の不満も大きくなりやすいです。
2. 管理費や固定資産税の負担が曖昧になる
共有名義でよく起きるのが、管理費や固定資産税の負担が曖昧になる問題です。
実家は、誰も住んでいなくても費用がかかります。
たとえば、次のような費用です。
- 固定資産税
- 都市計画税
- 火災保険料
- 草刈り費用
- 修繕費
- 管理費
- 見回りの交通費
- 解体費用
兄弟で共有しているなら、本来は負担の分け方を決めておく必要があります。
しかし実際には、近くに住んでいる一人が管理をしていたり、誰か一人が固定資産税を立て替えていたりすることがあります。
最初は小さな負担でも、何年も続くと不満になりやすいです。
- 「自分だけが見に行っている」
- 「自分だけが税金を払っている」
- 「遠方の兄弟は何もしていない」
このような感情が積み重なると、兄弟間の関係にも影響します。
共有名義にするなら、費用と管理の分担を最初に決めておきましょう。
固定資産税や維持費の負担を先に確認したい方は、こちらの記事も参考にしてください。
▶ 実家の固定資産税はいくら?空き家・相続前後で確認したい5つのポイント
3. 売る・残す・住むで意見が分かれる
実家を兄弟で相続すると、売る・残す・住むで意見が分かれることがあります。
実家に対する考え方は、兄弟でも同じとは限りません。
たとえば、次のような違いがあります。
- 思い出があるから残したい
- 管理が大変だから売りたい
- 将来戻るかもしれないから残したい
- 現金化して分けたい
- 貸して収入にしたい
- 誰かが住むなら納得できる
どの考えにも理由があります。
ただし、方向性が決まらないまま共有にすると、判断が先送りされやすくなります。
そして、先送りしている間にも、固定資産税、管理費、修繕費はかかります。
建物も劣化します。
売るのか、残すのか、誰かが住むのか、貸すのか。
この方向性を曖昧にしたまま共有にすることが、トラブルの原因になります。
兄弟で実家を相続する場合は、まず全員の考えを出し合うことが大切です。
4. 次の相続で権利関係が複雑になる
共有名義のまま放置すると、次の相続で権利関係がさらに複雑になることがあります。
たとえば、兄弟2人で共有していた実家があるとします。
その後、兄が亡くなると、兄の持分は兄の配偶者や子どもに相続されることがあります。
さらに時間が経つと、関係者が増えていきます。
最初は兄弟2人だった共有者が、次の世代では甥、姪、配偶者などを含む複数人になることがあります。
そうなると、売却や管理の話し合いがさらに難しくなります。
次のような問題が起きることがあります。
- 誰が共有者なのか分かりにくくなる
- 連絡先が分からない人が出てくる
- 売却の同意を集めるのが大変になる
- 費用負担の話し合いが進まない
- 相続登記が進まず名義が複雑になる
共有名義を放置すると、問題は今の兄弟だけで終わりません。
次の世代に負担を残す可能性があります。
早めに方針を決めることが、将来のトラブルを防ぐことにつながります。
5. 兄弟間の感情トラブルに発展しやすい
実家の相続は、お金だけでなく感情も関係します。
そのため、共有名義の問題は、兄弟間の感情トラブルに発展しやすいです。
たとえば、次のような不満が出ることがあります。
- 自分だけが親の世話をしていた
- 自分だけが実家の管理をしている
- 売却代金の分け方が納得できない
- 兄弟の一人だけが実家を使っている
- 費用負担が不公平に感じる
- 連絡や相談がないまま話が進んでいる
実家は、家族の思い出がある場所です。
だからこそ、単純に金額だけで割り切れないことがあります。
一方で、固定資産税や管理費、修繕費といった現実の負担もあります。
感情と現実が混ざると、話し合いが難しくなります。
兄弟で揉めないためには、誰か一人の気持ちだけで決めるのではなく、全員の考えを確認することが大切です。
そのうえで、気持ちだけでなく、実家の価値、管理の負担、費用、将来の方針を同じテーブルに並べて話すことが大切です。
- 「残したい」という気持ちがあるなら、誰が管理するのか
- 「売りたい」という気持ちがあるなら、なぜ売りたいのか
- 「共有でよい」と考えるなら、将来どう見直すのか
ここまで話しておくと、感情だけの対立になりにくくなります。
兄弟相続で共有を避ける方法
兄弟で実家を相続する場合、必ず共有名義にしなければならないわけではありません。
共有を避ける方法として、次のような選択肢があります。
- 実家を売却して現金で分ける
- 一人が実家を相続し、他の兄弟に代償金を払う
- 他の財産と合わせてバランスを取る
- 貸す場合は管理ルールを決める
- 共有にするなら期間と出口を決める
ここから、それぞれ簡単に整理します。
実家を売却して現金で分ける
最も分かりやすい方法は、実家を売却して現金で分けることです。
現金にすれば、兄弟で分けやすくなります。
誰か一人だけが管理を負担することも避けやすくなります。
ただし、売却には相続人の合意が必要です。
また、売却時の税金や費用も確認する必要があります。
一人が実家を相続し、他の兄弟に代償金を払う
実家に住む人がいる場合は、一人が実家を相続し、他の兄弟に代償金を払う方法があります。
これは、実家を引き取る人が、その分ほかの相続人にお金で調整する考え方です。
ただし、代償金を払う資金が必要です。
また、実家の評価額をどう見るかで意見が分かれることもあります。
他の財産と合わせてバランスを取る
実家以外に預貯金や別の財産がある場合は、それらと合わせて分け方を考えることもあります。
たとえば、一人が実家を相続し、他の兄弟は預貯金を多めに相続するような形です。
ただし、財産の内容や金額によっては、きれいにバランスを取るのが難しいこともあります。
この場合も、実家の価格の目安を知っておくことが大切です。
貸す場合は管理ルールを決める
実家を貸す場合は、収入を得られる可能性があります。
ただし、貸す場合でも管理や修繕の問題は残ります。
- 誰が管理するのか
- 修繕費は誰が負担するのか
- 家賃収入はどう分けるのか
- 空室になった場合はどうするのか
こうしたルールを決めないまま貸すと、後で揉めることがあります。
共有にするなら期間と出口を決める
どうしても共有にする場合は、期間と出口を決めておくことが大切です。
たとえば、次のように決めておきます。
- 3年以内に売却するか見直す
- 固定資産税は持分割合で負担する
- 草刈りや管理は誰が担当する
- 修繕費が一定額を超えたら売却を検討する
- 誰かが住む場合の費用負担を決める
共有名義そのものが必ず悪いわけではありません。
ただし、何も決めずに共有するのが危険です。
共有にするなら、管理ルールと出口を決めておきましょう。
判断を先延ばしにするとどうなるか
兄弟で実家を相続したあと、判断を先延ばしにすると問題が大きくなりやすいです。
たとえば、次のような流れです。
- 空き家のまま放置される
- 固定資産税が毎年かかる
- 草刈りや見回りが必要になる
- 建物が劣化する
- 修繕費が増える
- 近隣トラブルが起きる
- 兄弟間の不満がたまる
- 次の相続で関係者が増える
最初は「とりあえず共有でいい」と思っていても、時間が経つほど話し合いは難しくなります。
特に、兄弟の生活環境や経済状況は変わります。
最初は残したいと思っていた人が、数年後には売りたいと言うかもしれません。
逆に、売りたい人と残したい人の対立が長引くこともあります。
実家の兄弟相続では、早めに方向性を決めることが大切です。
判断に迷っている方へ
兄弟で実家を相続するときは、いきなり共有名義にするか、売るか、誰かが引き取るかを決める必要はありません。
まずは、兄弟で何を見落としているのかを整理することが大切です。
たとえば、次のような点です。
- 実家の価値を兄弟で共有できているか
- 売る・残す・貸すの方向性を話し合えているか
- 誰かが住む予定はあるのか
- 共有名義にした場合、将来売却できるのか
- 固定資産税や修繕費をどう負担するのか
- 次の相続で権利関係が複雑にならないか
- 兄弟間で管理の負担が偏らないか
- 売る・残す・貸すの選択肢を比較できているか
ここが見えてくると、共有にするべきか、売却するべきか、誰かが引き取るべきかを考えやすくなります。
実家を売る・残す・貸すのどれがよいか迷っている場合は、まずはこちらの記事で判断基準を整理してみてください。
▶ 実家をどうするか迷ったときの判断基準|売る・残す・貸すの考え方
兄弟で実家をどうするか決めきれない場合は、まず見落としている点を整理しておくことも大切です。
共有名義、管理負担、費用分担、売却の可能性などを確認したい方は、無料の「見落とし発見診断シート」で現在地を整理してみてください。
兄弟で実家を相続する場合、話し合いを進めるためには、実家の価格の目安を知っておくことも大切です。
価格を確認することは、すぐに売ると決めることではありません。
兄弟で話し合うための共通材料を持つということです。
実家の価値が分かると、売る・残す・貸すの判断や、兄弟間のお金の調整を進めやすくなります。
また、一人が実家を相続して他の兄弟に代償金を払う場合や、売却して現金で分ける場合にも、価格の目安が必要になります。
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■ 次に読む記事
兄弟で実家をどう分けるか迷っている方は、こちらの記事で分け方の考え方を整理できます。
▶ 実家を兄弟でどう分ける?揉めないための判断ポイント5つ【結論】
実家の相続で起こりやすい家族トラブルを知りたい方は、こちらの記事も参考になります。
相続した空き家を売る方向で考えたい方は、こちらの記事で売却時の注意点を確認してみてください。
▶ 相続した空き家を売るときの注意点|税金・手続き・失敗しないポイント
まとめ
実家を兄弟で相続する場合、共有名義は一見平等に見えます。
しかし、共有名義には注意したいリスクがあります。
兄弟で実家を相続するときは、次の5つを確認しましょう。
- 売却に兄弟全員の同意が必要になる
- 管理費や固定資産税の負担が曖昧になる
- 売る・残す・住むで意見が分かれる
- 次の相続で権利関係が複雑になる
- 兄弟間の感情トラブルに発展しやすい
共有名義にすると、売却、管理、修繕、解体などの場面で兄弟間の合意が必要になることがあります。
また、共有のまま放置すると、次の相続で関係者が増え、さらに話し合いが難しくなる可能性もあります。
大切なのは、早めに方向性を決めることです。
売るのか、誰かが相続するのか、貸すのか、共有で持つならどう管理するのかを話し合っておきましょう。
ここまで読んで、「兄弟で実家をどうするか話し合う必要がありそう」と感じた方は、まず今の価値を確認してみてください。
価格を確認することは、すぐに売ると決めることではありません。
兄弟で話し合うための共通材料を持つということです。
実家の価値がわかると、売る・残す・貸すの判断や、兄弟間のお金の調整を進めやすくなります。
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