空き家を売るには?6ステップと片付け・解体前の注意点

空き家どうする

「空き家を売りたいけれど、何から始めればいいのだろう?」と迷っていませんか。

相続した実家や長く使っていない家には、普通の住宅売却とは違う事情があります。

  • 家の中に荷物が残っている
  • 築年数が古く、本当に売れるのか分からない
  • 相続したものの、登記名義を確認していない
  • 遠方なので、片付けや内覧の対応が難しい
  • 解体やリフォームを先にした方がよいのか迷っている

結論から言うと、空き家を売るために、最初から荷物をすべて処分したり、解体・リフォームを済ませたりする必要はありません。まず所有関係と建物の状態を確認し、現況での売却を含めて不動産会社に相談するのが基本です。

ただし、倒壊のおそれがある建物や落下しそうな屋根材など、危険な状態を放置してよいという意味ではありません。安全の確保と、費用の大きな工事を決めることは分けて考えましょう。

この記事では、空き家の売却を6ステップで説明し、片付け・修繕・解体を判断するタイミング、契約前の確認事項、費用・税金の注意点を整理します。

この記事でわかること

  • 空き家を売るまでの基本的な6ステップ
  • 査定前に確認することと、急いでしなくてよいこと
  • 仲介・買取を選ぶときの考え方
  • 家財の片付け、修繕、解体を判断するタイミング
  • 売買契約・引き渡しで確認したい条件と、税金の注意点

結論|空き家を売るには6つの順番で進める

空き家売却では、次の流れを押さえておくと「今何をすればよいか」が分かりやすくなります。

段階 すること 空き家特有の確認
① 現状確認 名義・家族・建物を確認 相続登記、残置物、危険箇所、境界
② 査定 価格と売り方の見通しを調べる 古家付き・現況売却・更地の可能性
③ 方法・会社選び 仲介か買取かを選ぶ 価格だけでなく期間と片付け負担も比較
④ 売却準備・活動 媒介契約、売出価格、内覧対応 鍵・庭・室内・家財の扱い
⑤ 売買契約 買主と条件を合意する 雨漏り、境界、残置物、解体条件
⑥ 決済・引き渡し 代金受領、登記、鍵の引き渡し 荷物の撤去や設備の取り扱いを最終確認

これは主に仲介で売る場合の流れです。不動産会社などが直接買い取る場合は、一般の買主を探す販売活動や、仲介の媒介契約が通常不要になります。

また、売却相談や査定を受けることと、売買契約を結ぶことは別です。相談段階で売却の見通しを確認してから、大きな費用をかけるか決めることがポイントです。

住田さんの悩み

住田さん
住田さん

実家が空き家になり、売却を考えています。でも荷物が多く、家も古いんです。先に全部片付けて、解体してから相談した方がよいのでしょうか。

家守さんの整理

家守(やもり)
家守(やもり)

大きな片付けや解体は、売り方の見通しが分かってからでも間に合う場合があります。まず名義と家の状態を確認し、建物付きで売る方法や買取の可能性を相談しましょう。ただし危険な箇所の安全対策は先延ばしにしないでくださいね。

空き家を売る流れを6ステップで解説

① 名義・建物の状態・家族の意向を確認する

最初にすることは、空き家がどのような状態にあるかの整理です。完璧な清掃や解体よりも、まず売却の前提条件を確かめます。

  • 所有関係:土地・建物の登記名義、共有者、抵当権など
  • 相続関係:遺言書、相続人、遺産分割協議、相続登記の進行状況
  • 家族の意向:売却の希望、売却代金の分け方、家財をどうするか
  • 建物の状態:雨漏り、傾き、屋根・外壁、設備、危険な箇所
  • 敷地の状態:庭木、境界、接道、隣地との関係
  • 売却の希望:いつまでに手放したいか、価格と期間のどちらを重視するか

相続した実家が亡くなった親の名義のままでも、査定相談自体はできます。ただし、売却の決済・所有権移転に向けて適切な相続登記等の手続きが必要になるため、早めに司法書士などへ確認しましょう。

2024年4月から相続登記は義務化されており、相続で取得したことを知った日から原則3年以内に申請が必要です。2024年4月1日以前の相続についても、取得を知った時期に応じた経過措置があります。

参考:法務省|相続登記の申請義務化

相続した空き家の手続き・税金を詳しく確認したい場合は、相続した空き家を売るときの注意点を参考にしてください。

② 査定を依頼し、価格と売り方の見通しを確認する

次に、売却を検討している空き家について、不動産会社に価格の目安と販売方針を確認します。

この段階では査定額が高いかどうかだけでなく、次の点を聞いておきましょう。

  • 建物付きの現況のまま売れそうか
  • 家財の撤去が必要なら、どこまでか
  • 修繕・解体をした場合と、しない場合の見通し
  • 売却までの想定期間と、その根拠
  • 仲介と買取のどちらが現実的か
  • 査定額の根拠になった周辺の成約事例や物件条件

古い家の価値をどう見るかは、立地、接道、建物の状態、買主の需要などによって変わります。1社の金額だけで大きな工事を決めず、必要に応じて複数社の見解を比べましょう。

査定額は売却価格の保証ではありません。また、査定を申し込むと不動産会社から電話やメールなどで連絡が入る場合があります。売却を現実的に検討している段階で、サービスの条件も確認して利用しましょう。

③ 仲介・買取を選び、不動産会社を決める

空き家の主な売却方法には、仲介と買取があります。どちらを選ぶかで、その後の進め方も変わります。

比較点 仲介 買取
買主 不動産会社が探す購入希望者 不動産会社などの買取事業者
売却価格 条件次第で高値を目指せる 仲介での想定価格より低い場合がある
売却までの手順 販売活動や内覧などが必要 一般向けの販売活動は通常不要
古い家・残置物 買主の条件次第 事業者によって現況で相談できる場合がある

早く確実に手放したいからといって、どの買取会社でも必ず買い取ってくれるわけではありません。また、仲介なら必ず高く売れるわけでもありません。

価格、期間、片付けや修繕の負担、担当者の説明をまとめて比較しましょう。

詳しい違いは、不動産仲介と買取の違い5つ|高く売る・早く売る判断基準で確認できます。

④ 片付け方と売出価格を決め、売却活動を始める

仲介で売る場合は、不動産会社と媒介契約を結び、売出価格や販売方針を相談して、購入希望者を探します。

この段階で確認したいのは、広告を出す方法だけではありません。空き家特有の準備もあります。

  • 内覧の際に鍵を誰が開けるか。遠方の場合は立会い方法をどうするか
  • 玄関・通路など安全に見学できる状態か
  • 家財のうち、先に移すものと残して相談するもの
  • 庭木、雑草、郵便物などの管理担当
  • 売出価格を見直す条件や時期

家財が残っていても査定できる場合がありますが、内覧のしやすさや引き渡し条件には影響します。家族の思い出の品は処分前に確認し、買主に引き渡すもの・撤去するものを整理しましょう。

なお、買取の場合は、事業者との条件交渉から売買契約へ進むのが一般的です。仲介の媒介契約や一般の買主向け販売活動を必ず行うわけではありません。

⑤ 買主と条件を調整し、売買契約を結ぶ

買主が見つかり、価格や条件がまとまったら売買契約を結びます。空き家では、何を、どの状態で、いつ引き渡すかが特に大切です。

確認項目 契約前に確認すること
残置物 家具・家電・物置の中身を誰がいつまでに片付けるか
建物の不具合 雨漏り、シロアリ、設備不良など把握していることを伝えたか
境界・土地条件 境界確認や測量が必要か。費用を誰が負担するか
解体・修繕 する場合は誰が、いつ、どの費用で行うか
契約上の責任 契約不適合責任の内容、期間、合意した取り決め
引き渡し 日程、鍵、設備、所有権移転、残代金決済の条件

「現況渡し」と書けば、売主の責任がすべてなくなるわけではありません。物件の状態と、契約に定める責任の範囲は別に確認する必要があります。知っている不具合を隠さず、物件状況報告書や契約内容について不動産会社・必要に応じて専門家と確認しましょう。

⑥ 残代金の決済・登記・鍵の引き渡しを行う

売買契約後、約束した期日までに引き渡しの準備を進めます。

  • 契約で撤去すると決めた荷物を片付ける
  • 必要な測量・修繕・解体などを契約条件に沿って完了する
  • 相続登記や抵当権抹消など、決済に必要な手続きを整える
  • 残代金を受け取り、所有権移転登記の手続きを進める
  • 鍵、設備の資料、必要な書類などを引き渡す

ここまで終えて売却が完了します。売却後も、譲渡所得に関する確定申告などを確認する必要があります。

空き家は片付け・修繕・解体してから売るべき?

空き家売却で迷いやすいのが、「先にお金をかけてから相談するべきか」という点です。

大きな費用のかかる作業は売却方法の見通しを確認してから判断する。一方、危険な状態は先に安全を確保する。この2つを分けて考えましょう。

空き家の状態 最初の判断
家財が大量に残っている 査定・相談は可能な場合がある。撤去範囲と引き渡し条件を確認
壁紙・設備が古い 高額なリフォーム前に、現況売却との費用対効果を比べる
雨漏りや設備不良がある 状況を記録して告知。危険なら安全対策を優先
建物の傷みが大きい 古家付き売却と更地売却、買取の提案を比較
屋根材の落下や倒壊のおそれがある 査定を待たず、立入防止などの安全確保や専門家への相談を優先

また、先に解体すると、土地の固定資産税などに関わる住宅用地特例の適用が変わる場合があります。解体後も土地を所有し続けるなら、翌年度以降の税負担について市区町村へ確認しましょう。

相続した空き家では、建物の解体時期や耐震改修、譲渡後の工事などが税制特例の適用条件に関わる場合もあります。税金や契約条件を確認する前に、解体を決めてしまわないことが大切です。

解体費用の詳しい内訳は、空き家の解体費用はいくら?確認したいポイントと注意点で確認できます。

空き家売却で失敗を防ぐための事前チェック表

売り出す前に、次の項目について「確認済み」「これから確認する」を分けてみてください。

項目 確認すること
名義・相続 土地・建物の所有者、共有者、必要な登記
家族の意向 売却の合意、家財、費用負担
建物の状態 雨漏り・破損・設備不良・安全面
敷地・道路 境界、接道、庭木、未登記部分など
売却方法 仲介・買取・現況売却・解体の比較
売却費用 仲介手数料、家財処分、測量、登記等の見込み
税金 譲渡所得や空き家特例の適用可能性
引き渡し 残置物、設備、修繕、鍵、引き渡し日

すべてが決まってからでないと査定できないわけではありません。分からない箇所があるなら、相談時に「未確認」と伝え、必要な調査を進めていきましょう。

空き家の売却にかかる費用と税金

空き家が売れたとき、売却価格の全額が手元に残るわけではありません。状況に応じて次の費用が発生することがあります。

  • 仲介手数料(仲介で売る場合)
  • 売買契約書の印紙税
  • 相続登記、抵当権抹消などの登記関連費用
  • 家財の処分・清掃費用
  • 境界確認や測量の費用
  • 必要に応じた修繕・解体費用
  • 売却益が生じた場合などの譲渡所得に関する税金

費用は物件や契約条件によって異なるため、売却前に概算と負担者を確認しましょう。

相続した空き家の3,000万円特別控除は条件付き

一定の要件を満たす相続空き家では、譲渡所得から最高3,000万円を控除できる特例があります。ただし、どんな空き家にも自動的に適用される制度ではありません。

2026年11月現在、対象となる一定の譲渡は2027年12月31日までの制度です。相続開始の日から3年を経過する日の属する年の12月31日までといった期限や、家屋の建築時期、相続後の利用状況、売却条件などの要件があります。

また、2024年1月1日以後の譲渡で、対象となる家屋・敷地等を取得した相続人が3人以上いる場合、控除額は最高2,000万円となります。適用の可否は国税庁の条件を確認してください。

参考:国税庁|被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例

対象になるか分からない場合は、契約や解体の前に税務署・税理士へ相談しましょう。

売却後に確定申告が必要になる場合もある

土地・建物の売却で課税対象となる譲渡所得が生じた場合などは、確定申告が必要になります。また、空き家の特別控除などの適用を受けるには、原則として必要書類を添えて確定申告を行います。

一方、売却した人全員に必ず同じ申告義務があるわけではありません。取得費や譲渡費用、特例の適用状況などを確認し、迷う場合は税務署・税理士へ相談してください。

空き家を売るなら、最初の一歩は「名義と現況の確認」から

売却を具体的に進めたいなら、まず次の3つをそろえましょう。

  1. 名義と家族の意向:売却する権限や必要な手続きに問題がないか
  2. 建物と家財の状態:危険箇所、残置物、境界など未確認事項は何か
  3. 売却の優先条件:高く売りたいのか、早く手放したいのか

これらを整理したうえで、不動産会社に現況のまま売れる可能性や査定額の根拠を確認します。会社選びの基準は、不動産会社の選び方|売却で失敗しないための5つの基準を参考にしてください。

まだ売るか残すかも整理できていない場合は、無料の「見落とし発見診断シート」で現状を確認する方法もあります。

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売却が現実的な選択肢になった段階で、複数社の査定や販売方針を比較する方法があります。ただし、一括査定では不動産会社から連絡が来ることがあり、各サービスに利用条件もあります。申し込む前に確認しておきましょう。

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まとめ|空き家は片付けや解体を急がず、正しい順番で売ろう

空き家を売るための基本的な流れは次の6ステップです。

  1. 名義・建物の状態・家族の意向を確認する
  2. 査定を依頼し、価格と売り方の見通しを確認する
  3. 仲介・買取を選び、不動産会社を決める
  4. 片付け方と売出価格を決め、売却活動を始める
  5. 買主と条件を調整し、売買契約を結ぶ
  6. 残代金の決済・登記・鍵の引き渡しを行う

空き家だからといって、先に荷物を全部捨てたり、解体したりするのが正解とは限りません。建物付きのまま売る方法や買取の可能性を確認してから、大きな費用をかけるか判断しましょう。

その一方で、倒壊や落下物などの危険があれば、売却の判断とは別に安全対策が必要です。

まず名義と現況を確認し、「この状態で、どのように売れるか」を相談する。それが空き家売却の最初の一歩です。

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