実家を相続したり、親が住まなくなったりしたときに迷いやすいのが、「売るか貸すか」です。
売れば、管理の負担から解放され、まとまったお金が入る可能性があります。
一方で、貸せば家賃収入が入り、家を資産として残せる可能性があります。
どちらにもメリットがあるため、簡単には決められません。
- 「売るのはもったいない」
- 「貸せば収入になるかもしれない」
- 「でも大家になるのは大変そう」
- 「将来、家族が使うかもしれない」
このように迷う方は多いです。
ただし、実家を貸す場合は、家賃収入だけを見て判断するのは危険です。
貸すということは、大家になるということでもあります。
- 空室
- 修繕
- 管理
- 入居者対応
- 管理会社とのやり取り
- 固定資産税や保険料の負担
こうした現実も一緒に考える必要があります。
この記事では、実家を売るか貸すか迷ったときの判断基準を整理します。
■ この記事でわかること
✓ 実家を売る場合と貸す場合の違い
✓ 売るメリット・デメリット
✓ 貸すメリット・デメリット
✓ 貸す前に確認すべき現実
✓ 後悔しないための判断基準5つ
■ 結論:迷ったら「管理できるか」と「数字が合うか」で判断する
実家を売るか貸すかで迷ったら、感情だけで決めず、次の2つを軸に考えましょう。
- 管理を続けられるか
- 数字として成り立つか
売る場合は、実家を手放すことになります。
その代わり、管理、修繕、固定資産税、空き家リスクから離れやすくなります。
貸す場合は、家賃収入を得られる可能性があります。
ただし、大家としての責任が発生します。
- 空室になれば収入は止まります
- 設備が壊れれば修繕費がかかります
- 入居者対応や管理会社とのやり取りも必要になります
そのため、「貸せば毎月お金が入る」とだけ考えるのは危険です。
貸す場合は、家賃収入があっても、すべてが利益になるわけではありません。
管理費、修繕費、空室期間、税金、保険料を差し引いたあとに、どれくらい手元に残るのかを考える必要があります。
つまり、売るか貸すかは、気持ちだけでなく数字で比較することが大切です。
実家を貸すかどうかは、家賃収入から管理費、修繕費、空室リスクを引いても成り立つかで判断する必要があります。
■ 住田さんの悩み

実家をどうするか考えているのですが、売るか貸すかで迷っています。売れば管理の負担は減りそうですが、手放すのはもったいない気もします。貸せば家賃収入になるのではと思う一方で、修繕や入居者対応まで自分たちでできるのか不安です。売る方がいいのか、貸す方がいいのか、判断できずにいます。
■ 家守さんの整理

売るか貸すかは、どちらが正解というより、その家と家族の状況に合っているかで判断することが大切です。売る場合は、管理や修繕の負担から離れやすくなります。貸す場合は、家賃収入を得られる可能性があります。ただし、貸すなら大家としての責任も発生します。
- 空室になったときどうするのか
- 修繕費を払えるのか
- 管理会社に任せるのか
- 入居者対応をどうするのか
- 家族で費用や収入をどう分けるのか
ここまで含めて考えると、売るべきか貸すべきかが見えやすくなります。
実家を売るか貸すかでまず確認したいこと
売るか貸すかで迷ったら、まず次の点を確認しましょう。
- 実家を今後使う予定があるか
- 家族の誰かが住む可能性があるか
- 実家の場所に賃貸需要があるか
- 貸すための修繕が必要か
- 管理を誰がするのか
- 空室になった場合に耐えられるか
- 売却した場合の価格はどれくらいか
- 貸した場合の手残りはいくらか
- 固定資産税や保険料を払い続けられるか
売るか貸すかは、気持ちだけでは判断しにくい問題です。
特に「貸せば収入になる」という考えは、一度数字にしてみる必要があります。
想定家賃だけでなく、修繕費、管理費、空室期間、税金まで含めて考えましょう。
実家を売る場合のメリット
実家を売る最大のメリットは、管理の負担から離れやすくなることです。
空き家を持ち続けると、住んでいなくても管理が必要です。
売却すれば、その負担を整理できます。
① 管理の手間がなくなる
実家を売れば、掃除、草刈り、庭木の管理、雨漏り確認、近隣対応などを続ける必要がなくなります。
空き家は、持っているだけでも手間がかかります。
特に遠方にある場合は、見に行くだけでも時間と交通費がかかります。
売却することで、管理の負担を終わらせることができます。
② 固定資産税や修繕費の負担がなくなる
実家を持ち続けると、固定資産税や火災保険、修繕費がかかります。
古い家ほど、屋根、外壁、水まわり、給湯器、雨漏りなどの修繕費が発生しやすくなります。
売却すれば、こうした費用負担から離れられます。
「使っていない家にお金を払い続けている」と感じている場合は、売却によって負担を整理できる可能性があります。
③ まとまった資金を得られる
実家を売ると、まとまった資金が入ります。
その資金を、老後資金、住み替え、相続人間の分配、他の資産運用、生活費などに使うことができます。
実家を現金化することで、家族で分けやすくなる場合もあります。
特に兄弟で相続している場合、家を共有したまま持ち続けるより、売却して分けた方が話が進みやすいことがあります。
実家を売る場合のデメリット
売ることにもデメリットがあります。
一度売却すると、基本的にはその家を取り戻すことはできません。
① 思い出のある家を手放すことになる
実家には、家族の思い出があります。
子どものころに過ごした家、親が暮らしていた家、親族が集まった家。
そう考えると、売ることに抵抗を感じるのは自然です。
売却は、単なる不動産の処分ではなく、気持ちの整理も必要になります。
そのため、売るかどうかは家族で話し合い、納得して進めることが大切です。
② 将来使う可能性を残せなくなる
実家を売ると、将来誰かが住む、帰省先として使う、倉庫として使うといった可能性はなくなります。
もし将来使う予定がはっきりしているなら、売らずに残す選択もあります。
ただし、「いつか使うかもしれない」だけで何年も残すと、管理費や修繕費だけが積み重なることがあります。
将来使う可能性があるなら、いつ、誰が、どのように使うのかを具体的にしておきましょう。
実家を貸す場合のメリット
実家を貸すメリットは、家を手放さずに収入を得られる可能性があることです。
ただし、これは賃貸需要があり、修繕や管理を続けられる場合に限られます。
① 家賃収入が得られる可能性がある
実家を貸すことができれば、毎月家賃収入が入ります。
場所や建物の状態によっては、空き家のままにしておくより有効活用になることがあります。
特に、駅や学校、職場、商業施設に近い場所では、賃貸需要が見込める場合があります。
ただし、家賃収入があるからといって、そのまま利益になるわけではありません。
管理費、修繕費、税金、保険料、空室期間も考える必要があります。
② 実家を資産として残せる
貸す場合は、実家を手放さずに済みます。
将来的に家族が使う可能性がある場合や、土地を残したい場合には、貸す選択が合うこともあります。
売却に抵抗がある場合でも、貸すことで一時的に活用できる可能性があります。
ただし、貸した後は、すぐ自由に使えるとは限りません。
入居者がいる間は、自分たちの都合だけで家を使うことはできません。
将来使う予定があるなら、契約内容や期間も含めて慎重に考える必要があります。
実家を貸す場合のデメリット
貸す場合に注意したいのは、家賃収入の裏に管理責任があることです。
空き家を貸すと、大家としての対応が必要になります。
① 空室リスクがある
貸したいと思っても、すぐ入居者が見つかるとは限りません。
特に、築年数が古い、駅から遠い、駐車場がない、設備が古い、周辺に賃貸需要が少ない場合は、空室期間が長くなることがあります。
空室の間は家賃収入がありません。
それでも固定資産税、保険料、管理費、最低限の修繕費はかかります。
「貸せば収入になる」と考える前に、本当に借り手が見つかる地域か確認する必要があります。
② 修繕費がかかる
人に貸すには、最低限安全に住める状態にする必要があります。
古い実家の場合、貸す前に修繕が必要になることがあります。
たとえば、次のような箇所です。
- 水まわり
- 給湯器
- エアコン
- 電気設備
- 雨漏り
- 床や壁
- 玄関や窓
- 外壁や屋根
入居中に設備が壊れた場合も、貸主側で対応が必要になることがあります。
家賃収入があっても、修繕費が大きければ手元に残る金額は少なくなります。
③ 入居者対応や管理が必要になる
実家を貸すと、入居者対応が発生します。
設備の故障、家賃の入金確認、退去時の原状回復、近隣トラブルなどです。
管理会社に任せることもできますが、その場合は管理費がかかります。
自分で管理する場合は、連絡対応や修繕手配をする必要があります。
遠方に住んでいる場合、すべて自分で対応するのはかなり大変です。
貸すということは、空き家問題が終わるのではなく、大家としての管理が始まるということです。
ここを見落とすと、「空き家の管理はなくなったけれど、今度は賃貸管理で悩む」という状態になりやすいです。
貸すこと自体が悪いわけではありません。
ただし、家賃収入だけでなく、管理責任まで受け止められるかを確認しておきましょう。
売るか貸すかの判断基準5つ
実家を売るか貸すかで迷ったら、次の5つで判断しましょう。
① 管理を続けられるか
まず考えるべきなのは、管理を続けられるかです。
貸す場合も、持ち続ける場合も、管理は必要です。
確認したいのは、次の点です。
- 実家の近くに住んでいるか
- 管理会社に任せられるか
- 修繕が必要なときに対応できるか
- 家族で費用を負担できるか
- 入居者対応を任せる体制があるか
管理できない場合は、貸すより売る方が現実的なことがあります。
② 賃貸需要があるか
貸すなら、その地域に賃貸需要があるかを確認しましょう。
借り手がいなければ、家賃収入は入りません。
確認したいのは、次のような点です。
- 周辺に賃貸物件があるか
- 家賃相場はいくらか
- 駅やバス停からの距離
- 駐車場の有無
- 学校や職場へのアクセス
- 築年数や設備の古さ
- 戸建て賃貸の需要があるか
不動産会社に相談すれば、売却価格だけでなく、賃貸需要や想定家賃を確認できる場合があります。
貸すかどうかは、希望ではなく需要で判断することが大切です。
③ 修繕費を回収できるか
実家を貸す前に、修繕費がどれくらいかかるかを確認しましょう。
貸すために100万円、200万円と修繕費がかかる場合、その費用を家賃収入で回収できるかを考える必要があります。
たとえば、毎月の家賃が入っても、修繕費の回収に何年もかかることがあります。
さらに、その間に空室や追加修繕が発生する可能性もあります。
貸す場合は、次のように考えましょう。
- 想定家賃はいくらか
- 修繕費はいくらか
- 管理費はいくらか
- 空室期間をどれくらい見るか
- 手元に残る利益はいくらか
家賃収入だけを見るのではなく、手残りで判断することが大切です。
④ 将来使う予定があるか
将来、家族の誰かが住む予定があるなら、貸す選択が合うこともあります。
ただし、「いつか使うかも」という曖昧な理由だけで残すと、負担が続きます。
確認したいのは、次の点です。
- 誰が使う予定か
- いつ使う予定か
- それまで管理できるか
- 貸した場合、必要な時期に戻せるか
- 空き家のまま置くより貸す方がよいか
将来使う予定がある場合でも、具体性が大切です。
誰が、いつ、どのように使うのかを家族で話しておきましょう。
⑤ 家族で納得できるか
実家は、気持ちが絡みやすい不動産です。
売るか貸すかを一人で決めると、後から家族間で不満が出ることがあります。
特に兄弟で相続している場合は、売却益や家賃収入、管理負担をどう分けるかを決める必要があります。
話し合うべきことは、次の通りです。
- 売ることに反対する人はいないか
- 貸す場合の収入をどう分けるか
- 修繕費を誰が負担するか
- 管理の窓口は誰にするか
- 将来売却するタイミングをどう決めるか
家族の納得がないまま進めると、売る場合も貸す場合も揉める原因になります。
実家の判断は、数字と感情の両方を整理することが大切です。
貸すより売った方がよいケース
次のような場合は、貸すより売却の方が現実的なことがあります。
- 遠方で管理できない
- 賃貸需要が弱い
- 修繕費が高額になりそう
- 家族で管理や費用を分担できない
- 空室リスクを負いたくない
- 早く現金化したい
- 今後使う予定がない
- 建物の劣化が進んでいる
特に、古い実家を貸す場合は、貸す前の修繕費が大きくなりやすいです。
家賃収入を得るつもりが、修繕と管理で負担が増えることもあります。
管理に不安があるなら、まず売却価格を確認してから考える方が現実的です。
売らずに貸すことを検討してもよいケース
一方で、次のような場合は貸すことも選択肢になります。
- 賃貸需要がある地域
- 建物の状態が良い
- 修繕費が大きくない
- 管理会社に任せられる
- 家族が費用負担に納得している
- 将来使う可能性がある
- 空室リスクを受け入れられる
- 長期的に保有する理由がある
貸す場合は、家賃収入だけで判断せず、手残りとリスクを確認しましょう。
不動産会社に相談するときは、売却査定だけでなく、賃貸として貸せるか、想定家賃はいくらかも確認しておくと判断しやすくなります。
実家を売るか貸すかで迷っているときは、いきなりどちらかに決める必要はありません。
まずは、今どこで迷っているのかを整理することが大切です。
たとえば、次のような点です。
- 管理を続けられるのか
- 賃貸需要がある地域なのか
- 修繕費を回収できそうか
- 将来、家族が使う予定はあるのか
- 家族で売却や賃貸に納得できるのか
- 売却価格と想定家賃を比較しているのか
ここが見えてくると、売るべきか、貸すべきか、いったん残すべきかを判断しやすくなります。
実家や空き家のことで、今どこを見落としているのか確認したい方は、無料の「見落とし発見診断シート」で現在地を整理してみてください。
迷ったら売却価格と賃料の両方を確認する
売るか貸すかで迷う場合は、頭の中だけで考え続けても答えは出にくいです。
まずは数字を確認しましょう。
確認したいのは、次の2つです。
- 売った場合の価格
- 貸した場合の家賃と手残り
売却価格が思ったより高ければ、売る判断がしやすくなります。
反対に、賃貸需要があり、修繕費をかけても収益が見込めるなら、貸す選択も現実的になります。
大切なのは、感覚ではなく数字で比較することです。
売却価格を知ることは、すぐに売ると決めることではありません。
想定家賃を知ることも、必ず貸すと決めることではありません。
売った場合と貸した場合を比べるための判断材料として、両方の数字を確認しておくことが大切です。
私自身も不動産を所有しているので感じますが、不動産は「持っていれば安心」というものではありません。
管理、修繕、税金、入居者対応、空室リスクまで含めて考える必要があります。
実家を貸す場合も、家賃収入だけを見るのではなく、大家として続けられるかを考えましょう。
売るか貸すかで迷っている場合は、まず売却価格の目安を確認しておくと判断しやすくなります。
査定を受けることは、すぐに売ると決めることではありません。
売った場合と貸した場合を比べるための判断材料として、価格の目安を確認しておきましょう。
※「メール連絡希望」と記載すれば電話はかなり減らせます
※査定したからといって売る必要は一切ありません
※合わない会社は断ってOKです
実際に物件を保有・運用してきた立場から整理しています。
■ 次に読む記事
実家をどうするか全体で判断したい方は、こちらの記事で整理できます。
▶ 実家をどうするか迷ったときの判断基準|売る・残す・貸すの考え方
実家を貸す場合のメリット・デメリットを詳しく知りたい方は、こちらの記事も参考になります。
▶ 実家を貸すメリット・デメリットとは?賃貸活用で確認したい5つの判断基準
実家を売る場合のメリット・デメリットを整理したい方は、こちらの記事も参考になります。
▶ 実家を売るメリット・デメリットとは?後悔しないための5つの判断基準
まとめ
実家を売るか貸すかで迷ったら、感情だけでなく、管理と数字で判断しましょう。
売る場合は、管理や修繕、固定資産税の負担から離れやすくなります。
貸す場合は、家賃収入を得られる可能性がありますが、空室、修繕、入居者対応、管理の負担が発生します。
判断基準は、次の5つです。
- 管理を続けられるか
- 賃貸需要があるか
- 修繕費を回収できるか
- 将来使う予定があるか
- 家族で納得できるか
「貸せば収入になるかも」と考えるだけでは危険です。
想定家賃、修繕費、管理費、空室リスクを含めて、手元に残る金額を確認しましょう。
迷ったときは、売却価格と賃料の両方を確認することが大切です。
そのうえで、数字が合い、管理体制も作れるなら、貸す選択もあります。
一方で、管理が難しい、賃貸需要が弱い、修繕費を回収しにくい場合は、売却の方が現実的なこともあります。
実家の扱いは、気持ちだけでも、収入の期待だけでも決めにくいものです。
売った場合と貸した場合の数字を比べながら、家族にとって無理のない形で判断していきましょう。
※「メール連絡希望」と記載すれば電話はかなり減らせます
※査定したからといって売る必要は一切ありません
※合わない会社は断ってOKです
実際に物件を保有・運用してきた立場から整理しています。

