実家や空き家を売るとき、「仲介と買取、どちらがいいのか」で迷う方は少なくありません。
仲介は高く売れる可能性がある一方、買主が見つかるまで時間がかかることがあります。買取は不動産会社に直接売るため話を進めやすい反面、提示される価格が低くなる場合があります。
ただし、「高く売りたいなら仲介、早く売りたいなら買取」だけでは、自分の実家に合う方法は決められません。実際には、仲介手数料や修繕・片付け費用、引渡しまでの期間、契約条件も違うからです。
この記事では、国土交通省の情報をもとに、仲介と買取の仕組み・手取り額の計算例・古い実家の判断基準・契約前のチェック項目を具体的に整理します。
- 結論|仲介と買取は「手取り額・売却期間・契約条件」で比較する
- 住田さんの悩み|古い実家は仲介と買取のどちらがいい?
- 家守さんの整理|価格差だけでなく条件をそろえて比べましょう
- 仲介と買取の仕組みはどう違う?
- 仲介と買取の手取り額はいくら違う?1,800万円の仮想事例で比較
- 仲介手数料はいくら?古い実家は800万円以下の特例にも注意
- 仲介のメリット・デメリット|価格を狙える一方、時間の見通しは必要
- 直接買取のメリット・デメリット|期限と負担を比較しやすい
- 古い実家・空き家ならどっち?状況別の判断表
- 契約前に比較したい7項目|そのまま質問に使えるチェックリスト
- 仲介と買取で迷ったときの比較手順は4ステップ
- よくある質問|仲介と買取の迷いを整理
- 判断に迷っている方へ|売却方法を決める前に整理したいこと
- 次に読む記事
- まとめ|仲介と買取は「高い・早い」だけで決めない
結論|仲介と買取は「手取り額・売却期間・契約条件」で比較する
最初に結論です。売却まで時間をかけられ、価格を重視するなら仲介を軸に検討します。一方、売却期限が近い、遠方の実家を管理できない、何度も内覧対応するのが難しい場合は、直接買取も並べて比較する価値があります。
| 比較項目 | 仲介 | 不動産会社による直接買取 |
|---|---|---|
| 買主 | 不動産会社が探す第三者(個人・法人など) | 不動産会社自身 |
| 売却価格 | 市場で売り出し、買主と交渉する | 買取会社が購入条件と価格を提示する |
| 期間 | 買主が決まる時期は読みにくい | 条件が合えば予定を立てやすい |
| 仲介手数料 | 媒介契約による成約時に発生するのが一般的 | 仲介業者を介さない直接取引なら通常不要 |
| 内覧・売却活動 | 購入希望者への内覧や調整が必要になりやすい | 一般向けの内覧対応は少ないが現地調査は必要 |
| 片付け・修繕 | 売却条件に応じて準備・交渉 | 現況での引渡しが可能な場合もあるが会社次第 |
| 売主の責任 | 契約内容と法令による | 契約内容と法令による。自動的に免責ではない |
| 向いている状況 | 価格重視・販売に時間を使える | 期限・管理負担・手間を重視 |
最終的には「査定額」ではなく、実際に成立しそうな価格から費用を引いた金額と、契約条件で判断することが大切です。
住田さんの悩み|古い実家は仲介と買取のどちらがいい?

親の古い実家を売りたいんです。でも仲介だといつ売れるか分からないし、買取だとかなり安くなりそうで……。何を比べれば決められますか?
家守さんの整理|価格差だけでなく条件をそろえて比べましょう

まず「仲介で売れそうな価格」と「業者が実際に買う価格」を分けて確認しましょう。そのうえで、手数料・片付け費用・売却までの維持費・引渡し条件を比べれば、自分に合った方法が見えてきますよ。
仲介と買取の仕組みはどう違う?
仲介|不動産会社に買主を探してもらう方法
仲介では、不動産会社と媒介契約を結び、広告や不動産会社間の流通ネットワークなどを通じて買主を探してもらいます。最終的な買主は一般の個人とは限らず、法人の場合もあります。
売出価格を決めて販売できる点が特徴ですが、査定額で売れることも、希望の期限までに売れることも保証されません。購入希望者の内覧対応、価格交渉、契約調整などが発生します。
買取|不動産会社が買主になる方法
直接買取では、不動産会社が物件を調査し、自ら買主として価格と条件を提示します。一般向けに買主を探す工程を省けるため、条件が合えば売却日程を組みやすくなります。
ただし、「買取査定を受けた=必ず買ってもらえる」ではありません。建物の状態、再建築の可否、境界、権利関係などによっては、価格の変更や買取不可の判断もあります。
なお、仲介業者を間に挟む「買取仲介」では、直接買取と違って仲介手数料が発生する場合があります。どの会社が買主になるのか、媒介契約があるのかを確認してください。
仲介と買取の手取り額はいくら違う?1,800万円の仮想事例で比較
「仲介の方が高い」と言われても、実際に手元へ残る額が分からなければ比較できません。そこで、同じ実家について2つの売却方法を検討する仮想事例を用意しました。
設定:仲介で1,800万円で成約した場合/不動産会社が1,400万円で直接買い取る場合。いずれも説明のための仮定であり、買取価格が仲介価格の何割になるかを示す一般的な相場ではありません。
| 比較項目 | 仲介で成約 | 直接買取 |
|---|---|---|
| 売却価格 | 1,800万円 | 1,400万円 |
| 仲介手数料 | 66万円(税込・上限額で試算) | 0円(媒介なしの場合) |
| この2項目だけを引いた額 | 1,734万円 | 1,400万円 |
| 差額 | 仲介が334万円多い | |
仲介の手数料66万円は、個人が売る1,800万円の住宅を想定し、一般的な上限の速算式「(1,800万円×3%+6万円)×1.1」で計算しています。上限額であり、必ずこの額を請求されるという意味ではありません。
注意:上の「1,734万円」「1,400万円」は最終的な手取り額ではありません。印紙税、抵当権抹消などの登記関連費用、測量・解体・残置物処分、譲渡所得に対する税金、ローン返済額などは含めていません。これらは実際の物件と契約条件に応じて差し引いてください。
価格差334万円をそのまま「仲介の得」と考えない
仮に仲介で売れるまで半年かかり、管理・草刈り・保険・光熱費などで月3万円の負担が続くとすると、6か月分で18万円。上の単純比較差は334万円から316万円に縮まります。
さらに修繕や片付けに費用が必要なら、その分も仲介側で計算します。ただし、買取でも売主負担の片付け・測量費などを求められる場合があるため、両方で同じ費用を二重計上しないようにします。
逆に、仲介で値下げせず売れる保証もありません。仲介の「査定価格」と買取会社の「購入提示額」は性質が違うので、同条件で比較できるよう売却期間の見通しと費用条件をそろえましょう。
仲介手数料以外の諸費用を詳しく整理したい場合は、家を売るときの費用・手取り額の解説も参考にしてください。
仲介手数料はいくら?古い実家は800万円以下の特例にも注意
不動産会社が仲介して売買が成立した場合の仲介手数料には、法令に基づく上限があります。400万円を超える通常の売買では、一般的に次の速算式で上限を計算できます。
仲介手数料の上限(税込)=(売買価格×3%+6万円)×1.1
※個人による一般的な住宅売却の計算例。売買価格の消費税の扱いなど個別条件で異なります。
ただし、2024年7月1日から、物件価格800万円以下の宅地・建物では「低廉な空家等」の仲介手数料の特例が設けられています。使用状態は問いません。条件に応じて、仲介業者は依頼者の一方から税込33万円を上限として受け取れる場合があります。
| 仮の売買価格 | 通常の上限速算額(税込) | 800万円以下の特例 |
|---|---|---|
| 500万円 | 23万1,000円 | 条件により上限33万円まで |
| 1,800万円 | 66万円 | 対象外 |
例えば500万円の古い実家では、通常の計算額23万1,000円より高い手数料になる可能性があります。ただし、33万円は自動的に請求される固定料金ではありません。媒介契約を結ぶ前に、金額と適用理由について合意することが重要です。
参考:国土交通省「不動産取引に関するお知らせ」(仲介手数料の原則・低廉な空家等の特例)。
仲介のメリット・デメリット|価格を狙える一方、時間の見通しは必要
仲介のメリット
- 市場で買主を探せる:希望価格に近い条件で売却できる可能性がある。
- 販売戦略を比較できる:不動産会社ごとに売出価格の根拠、広告方法、販売期間の想定を比べられる。
- 売却条件を交渉できる:引渡し時期や付帯設備などを、購入希望者との交渉材料にできる。
仲介のデメリット
- いつ売れるか確定しない:買主が見つからず値下げする場合もある。
- 内覧と管理の負担:遠方の空き家では立会い・掃除・草刈り・鍵の管理が負担になりやすい。
- 費用が発生する:成約時の仲介手数料のほか、物件によって準備・修繕などの費用が生じる。
したがって、価格を重視し、一定期間の売却活動を続けられる人には仲介が有力な選択肢です。
直接買取のメリット・デメリット|期限と負担を比較しやすい
直接買取のメリット
- 買主探しを省ける:買取会社が購入を決めれば、日程を具体化しやすい。
- 一般向け内覧が少ない:購入希望者を何組も案内する手間が減ることが多い。
- 物件の状態に応じた提案が受けられる:古い家や家財が残る家でも、現況のままの取引を相談できる場合がある。
直接買取のデメリット
- 価格が低くなることがある:買取後の再販売・修繕・保有リスク等を業者が見込むため。
- 会社ごとに提示額・条件が異なる:査定後に購入見送りや条件変更となる場合もある。
- 契約条件を細かく確認する必要がある:残置物、境界、引渡し、売主の責任などが自動的に免除されるわけではない。
買取には期限や管理負担を減らせる可能性がある一方、「早い=必ず得」ではありません。複数社の提示価格と条件を比べてから判断しましょう。
仕組みをさらに詳しく知りたい方は、不動産買取とは?向いている人と注意点も参考になります。
古い実家・空き家ならどっち?状況別の判断表
築年数だけで「買取向き」と決めるのは早計です。立地や土地の需要があれば、古い建物でも仲介で売れる可能性があります。
| 実家・空き家の状況 | 考えたい方向 | 確認すること |
|---|---|---|
| 急ぐ必要がなく価格重視 | 仲介を軸に | 査定根拠・販売期間・値下げ条件 |
| 遠方で管理できない | 直接買取も比較 | 引渡し期限と維持費の総額 |
| 築古でも立地需要がある | 仲介の可能性を確認 | 土地としての需要・現況売却の可否 |
| 修繕・片付けの費用が大きい | 仲介と買取を並行比較 | どの工事・処分を誰が負担するか |
| 仲介で長く売れていない | 価格見直し+買取見積り | 売れない理由・追加の保有費用 |
| 家族の売却方針が未確定 | 先に判断整理 | 所有者・相続人・同意・今後の利用 |
「古い家だから買取一択」ではありません。家の状態がよくなくても、立地や土地利用の可能性によって評価は変わります。まず仲介と買取の両面で可能性を確認するのが現実的です。
契約前に比較したい7項目|そのまま質問に使えるチェックリスト
金額が似ていても、契約条件で実質的な負担は変わります。仲介会社・買取会社には、次の7項目を確認しましょう。
- 価格の根拠:「仲介の査定額は何を根拠にしていますか?」「買取提示額は確定ですか、追加調査で変わりますか?」
- 支払う費用:「仲介手数料、印紙税、登記、測量など、売主負担は何ですか?」
- 売却・引渡し時期:「いつまでに契約・決済・引渡しできますか? 条件はありますか?」
- 家財・残置物:「家具や荷物を残せますか? 撤去費は誰が負担しますか?」
- 修繕・境界・解体:「設備の修理、測量、境界確定、解体は必要ですか? 誰の負担ですか?」
- 契約不適合責任:「引渡し後に雨漏り・設備不具合などが見つかった場合、売主はどこまで責任を負いますか?」
- 価格変更・解除・支払い:「契約前後に価格が変わる条件、解除条件、違約金、代金の支払時期はどうなりますか?」
口頭だけで済ませず、見積書・媒介契約書・売買契約書の記載と照合しましょう。分からないまま署名・押印しないことが大切です。
買取でも売主の責任が必ず免除されるわけではない
「不動産会社に売るなら、雨漏りなどの問題について一切責任を負わなくてよい」とは言い切れません。契約不適合責任の範囲、売主が知っている不具合の告知、免責条項の扱いは契約内容や法令によって変わります。
また、売主が自宅を不動産会社へ売却した取引では、クーリング・オフを利用できないと国土交通省は注意喚起しています。契約を急かされても、その場で決めず内容を確認してください。
参考:国土交通省「高齢者の自宅の売却トラブルにご注意ください!」。
仲介と買取で迷ったときの比較手順は4ステップ
STEP1|近隣の取引価格を確認する
まずは地域の価格帯を把握します。国土交通省の不動産情報ライブラリでは、不動産の取引価格や成約価格などを調べられます。
ただし、公開データは面積・道路条件・取引事情などが異なる物件の事例です。自分の家がその金額で売れるという保証ではありません。
STEP2|仲介会社から価格と販売計画を聞く
「いくらで売り出すか」だけでなく、「どの程度の期間で、いくらで成約すると想定するか」を確認します。査定額の根拠、販売方法、値下げ時の判断基準も聞いておきましょう。
不動産会社の比較基準は、不動産会社の選び方でも解説しています。
STEP3|必要なら直接買取の提示額も確認する
買取価格を知りたい場合は、その会社自身が買主になる直接買取の条件を確認します。仲介査定の見込み額と、買取会社が購入を検討する提示額は別物です。
一括査定サービスでは、参加会社や提供内容によって買取への対応が異なります。通常の一括査定を申し込めば直接買取の見積りが必ず届く、という意味ではありません。
STEP4|手取り・期間・契約条件を1枚に並べる
次のように情報をそろえると、家族とも相談しやすくなります。
| 書き出す項目 | 仲介の候補 | 買取の候補 |
|---|---|---|
| 成約予想・提示価格 | __万円 | __万円 |
| 仲介手数料ほか売主費用 | __万円 | __万円 |
| 必要な片付け・修繕等 | __万円 | __万円 |
| 引渡しの目安 | __月ごろ | __月ごろ |
| 引渡しまでの維持費 | __万円 | __万円 |
| 契約条件・売主責任 | ____ | ____ |
ここまで整理すると、単なる「高く売れそう」「早く売れそう」ではなく、売却後の現実的な負担まで考えて選べます。
よくある質問|仲介と買取の迷いを整理
Q.買取価格は仲介価格の何割くらいですか?
物件の立地・建物状態・再販売に必要な費用・買取会社の方針によって変わります。「必ず仲介価格の〇割」と決めつけず、同じ物件についてそれぞれの条件を取って比較しましょう。
Q.直接買取なら仲介手数料は不要ですか?
不動産会社が直接買主となり、仲介業者が介在しないなら、通常は仲介手数料が発生しません。ただし、第三者による仲介を通して業者へ売るケースでは手数料が生じる場合があります。
Q.買取なら荷物を片付けなくても大丈夫ですか?
残置物を含めて買い取る会社もありますが、すべての会社が対応するわけではありません。家財処分の範囲・費用負担・引渡し状態を事前に書面で確認してください。
Q.仲介で売れなければ買取に切り替えられますか?
買取会社が購入を検討する可能性はありますが、価格や条件はその時点の調査次第です。また、仲介契約を結んでいる場合は契約期間や解約条件、手数料などを確認してから進めましょう。
Q.買取なら売却後の責任はゼロですか?
いいえ。免責の有無は契約と法令によります。知っている雨漏りや設備不具合、越境などの問題は隠さず伝え、契約書で責任範囲を確認してください。
判断に迷っている方へ|売却方法を決める前に整理したいこと
仲介と買取の比較は大切ですが、その前に「そもそも実家を売るか、残すか、貸すか」で迷っている場合もあります。
家族の希望、今後の利用予定、管理できる人、維持費を整理したい方は、実家をどうするか迷ったときの判断基準を先に確認してみてください。
また、まだ売却方法を決められない方は、無料の実家・空き家の見落とし発見診断シートで現在の状況を整理できます。
一方、すでに売却を検討している場合は、仲介で売るときの価格と担当者の考え方を比較することから始めると、買取との条件差も判断しやすくなります。
ここでの査定は仲介売却価格の目安を知るためのものです。直接買取の金額を確認したい場合は、対応する買取会社へ別途問い合わせてください。
※連絡方法の希望を記載できる場合でも、希望どおりにならず電話連絡が入ることがあります。
※査定したからといって売る必要は一切ありません
※合わない会社は断ってOKです
実際に物件を保有・運用してきた立場から整理しています。
次に読む記事
- 不動産買取とは?向いている人と注意点:買取の基本を詳しく確認したい人向け。
- 不動産会社の選び方:仲介会社ごとの提案を比べたい人向け。
- 不動産一括査定のメリット・デメリット:仲介の査定比較を始める前に確認したい人向け。
- 家を売るときにかかる費用:手取り額をさらに詳しく計算したい人向け。
まとめ|仲介と買取は「高い・早い」だけで決めない
仲介は、市場で買主を探し、より高い価格を目指せる可能性があります。その一方で、売れるまでの期間や内覧・管理の負担が残ります。
直接買取は、買主探しを省いて売却時期を決めやすい反面、売却価格が低くなる場合があります。どちらが向いているかは、家の状態だけでなく、売却期限・費用・家族の事情・契約条件で変わります。
最後に、次の4点だけは比べましょう。
- 仲介なら、いくらで成約しそうか(査定額の根拠と期間)
- 直接買取なら、いくらで買ってもらえるか(購入条件)
- それぞれ費用を引くと、いくら残りそうか
- いつ引き渡せるか、売主は何を負担するか
急いで契約せず、条件をそろえて比較すれば、「高く売れるはずだった」「思ったより費用がかかった」といった後悔を減らしやすくなります。
※本記事の計算例は説明用の仮定です。法律・契約・税金の適用は個別事情によって異なります。媒介契約や売買契約の内容を確認し、必要に応じて宅地建物取引士・税理士・弁護士などの専門家に相談してください。制度情報確認日:2026年10月24日。
※築年数が古くても対応可能です
※他社で断られた物件でも相談できます
※査定したからといって売る必要は一切ありません
実際に物件を保有・運用してきた立場から整理しています。

