実家が空き家になり、「誰も住んでいないから、お金はあまりかからないだろう」と思っていませんか。
実際には、固定資産税のほかにも、火災保険、草刈り、見回り、修繕、実家までの交通費などが発生します。支払う時期がばらばらなので、年間の合計を把握できていないことも少なくありません。
空き家を売るか、残すか、貸すかを判断する前に、まずは「持ち続けると毎年いくら必要か」を数字にしてみましょう。
この記事では、空き家の維持費を5つに分け、年間24万円の架空の計算例を使いながら、自分の家の負担を見積もる方法を解説します。
この記事でわかること
- 空き家の維持費に含まれる5つの費用
- 年間維持費を合計する具体的な計算例
- 毎年の支出と、将来に備える修繕予備費の違い
- 維持費が増える原因と、持ち続けるか判断するポイント
結論|空き家の維持費は5項目を合計して考える
空き家の維持費は、地域や家の状態、敷地の広さ、管理方法によって大きく変わります。すべての空き家に当てはまる年間費用を、ひとつの金額で示すことはできません。
まずは次の5項目を確認しましょう。
- 固定資産税・都市計画税
- 火災保険料
- 草刈り・見回りなどの管理費
- 修繕費・メンテナンス費
- 水道光熱費・交通費などのその他費用
ポイントは、通常の年に支払う費用と、将来の修繕に備えて確保するお金を分けて考えることです。そうすれば、実際の支出と今後の負担を混同せずに済みます。

実家が空き家になっています。固定資産税はわかりますが、草刈りや修繕まで入れると、結局いくら用意しておけばいいのでしょうか?

まず5項目を1年分にそろえて合計しましょう。さらに、修繕に備える予備費を別に積み立てると、持ち続ける負担が具体的に見えてきます。
空き家の維持費はいくら?年間24万円の計算例
次は、管理している空き家を想定した説明用の架空の試算です。金額は全国平均でも、実際の物件の見積額でもありません。
| 費用項目 | 年間の計算例 |
|---|---|
| 固定資産税・都市計画税 | 80,000円 |
| 火災保険料 | 20,000円 |
| 草刈り・見回りなどの管理費 | 48,000円 |
| 水道光熱費・交通費など | 32,000円 |
| 通常年の支出合計 | 180,000円 |
| 将来の修繕に備える予備費 | 60,000円 |
| 年間の資金計画合計 | 240,000円 |
この例では、実際の年間支出を18万円、将来の修繕に備えて確保する予備費を6万円と設定しています。合計すると、1年あたり24万円、月額換算で2万円の資金計画です。
同じ前提で3年間保有するなら、通常の支出54万円と予備費18万円で、合計72万円を用意する計算になります。ただし、予備費18万円をまだ使っていないなら、その分は実際の支出ではありません。
毎年かかる費用と、突発的な修繕費は分ける
税金や契約中の保険料などは、比較的予測しやすい支出です。一方、雨漏りの修理や外壁補修、シロアリ対策などは、毎年同額が発生するとは限りません。
そのため、家計や資金計画では、「実際に支払う年間費用」と「修繕に備える予備費」を分けて記録するとわかりやすくなります。実際に修繕したときは、予備費から充当した分を二重に数えないようにしてください。
また、最初の片付け・家財処分・大規模修繕など、一度だけ発生する費用は年間維持費と別に見積もるのが適切です。
空き家の維持費で確認したい5つの内訳
1.固定資産税・都市計画税
空き家でも、課税対象となる土地や建物には固定資産税がかかります。場所や課税条件によっては都市計画税も発生します。実際の税額は、自治体から届く納税通知書と課税明細書で確認しましょう。
住宅の敷地には、一定の条件で土地の固定資産税を軽減する「住宅用地特例」が適用されます。ただし、管理不全空家等や特定空家等に関する自治体の勧告を受けると、特例の対象から外れる場合があります。
空き家になっただけで固定資産税が自動的に6倍になるわけではありません。税負担の仕組みは、別記事で詳しく解説しています。
関連記事:空き家の固定資産税は6倍になる?本当の仕組みと対策
制度の根拠:国土交通省「空家法とは」
2.火災保険料
空き家でも、火災や風災などによって建物が損害を受ける可能性があります。保険に加入している場合は、年間保険料を維持費に含めましょう。
注意したいのは、住んでいた家が空き家になったあとも、従来の住宅向け火災保険を同じ条件で使えるとは限らないことです。空き家となった理由や今後の用途によって、引受条件や補償内容が異なります。
現在契約している保険会社に、空き家になった事実と今後の利用予定を伝え、補償の有無や保険料を確認してください。補償対象外の事故や賠償リスクまで火災保険で対応できるとは限りません。
保険商品の取扱例:ソニー損保「住居として使用していないとはどのような場合ですか」
3.草刈り・見回りなどの管理費
空き家を放置すると、雑草や庭木が伸びたり、郵便物がたまったりします。雨漏りや設備の傷みに気づくためにも、定期的な確認が必要です。
- 草刈り・庭木の剪定
- 建物の外観点検、室内の換気
- 郵便物の確認と防犯対策
- 雨漏り・破損箇所の確認
自分で管理する場合にも、道具代や交通費、時間の負担があります。遠方に住んでいて管理を委託する場合は、基本料金のほか、草刈りや清掃が追加料金になるかを確認してください。
管理の詳細:空き家の管理費と管理方法を詳しく見る
4.修繕費・メンテナンス費
人が住んでいない家は、傷みを発見するのが遅れがちです。屋根や外壁、窓、水回りなどの不具合を放置すると、後から修繕範囲が広がる可能性があります。
修繕費は、建物の状態や工事内容によって差が大きいため、「毎年必ず数万円かかる」と決めつけず、点検結果や見積書をもとに考えましょう。今すぐ必要な修繕と、将来に備える予備費は分けておくと安心です。
関連記事:空き家の修繕費はいくら?よくある5つの修理と判断基準
5.水道光熱費・交通費などのその他費用
少額に見えても、年間にすると見落とせない費用があります。
- 電気・水道を契約したままにする場合の基本料金など
- 実家までのガソリン代、高速代、電車代、宿泊費
- 防犯用品、害虫・害獣対策、必要に応じた除雪費
電気や水道は、管理や修繕のために使うこともあります。解約するかどうかは、点検・清掃・工事の予定を確認して判断しましょう。
なお、不用品処分費や大がかりな片付け費用は、毎年発生するとは限らないため、必要に応じて一時費用として別に記録してください。
空き家を放置すると維持費が増える理由
空き家は、管理を先延ばしにするほど費用が増えることがあります。
- 草木の放置:隣地や道路にはみ出し、剪定や対応が必要になる
- 雨漏りの見逃し:屋根だけでなく、天井や床などへ被害が広がるおそれがある
- 外壁・屋根の劣化:破損や落下などの危険が生じ、早急な修繕を要することがある
国土交通省も、空き家の放置には倒壊、外壁材の落下、害虫の発生、不法侵入などのリスクがあると説明しています。
また、管理不全空家等や特定空家等として、自治体からの指導に従わず勧告を受けると、土地の住宅用地特例が適用されなくなる場合があります。単に空き家というだけで税額が6倍になる、という意味ではありません。
関連記事:空き家を放置するとどうなる?知らないと危険な5つのリスク
年間維持費を把握するために確認したい資料
実際の維持費を計算するときは、次の資料を手元に集めると早く整理できます。
- 納税通知書・課税明細書:土地と建物の固定資産税・都市計画税を確認する
- 保険証券・更新案内:現在の契約が空き家の状態に合っているか確認する
- 管理サービスの契約書や領収書:見回りと草刈りの費用を分けて確認する
- 点検記録・修理の見積書:必要な修繕と予備費の金額を考える
- 光熱費の明細・交通費の記録:実家へ通う回数も含めて1年分を合計する
資料がすべてそろわなくても構いません。まずは「支払った金額」「今後必要になりそうな金額」「まだ確認できていない金額」の3つに分けて書き出しましょう。
たとえば、管理サービスが月4,000円なら年間48,000円です。保険料が複数年一括払いなら、比較しやすいように年額換算します。このように費用をすべて1年単位にそろえると、自分の空き家に必要な予算が見えてきます。
空き家を持ち続けるか判断する3つのポイント
1.将来その家を使う予定はあるか
将来住む予定がある、家族が利用する可能性があるなど、残しておく理由が明確なら、維持費をかける意味があります。一方で、使う予定が決まっていない場合は、いつまで保有するか期限を設けて考える方法もあります。
2.維持費と修繕費を無理なく負担できるか
年間の支出に加え、まとまった修繕費が必要になった場合でも対応できるか確認しましょう。家族で費用を分担するなら、誰が何を負担するのかも話し合っておくことが大切です。
3.管理を続けられるか、売却・賃貸も比較するか
遠方で見回りが難しい、建物が傷んでいる、家族に管理を引き継ぐ人がいない場合は、維持費だけでなく管理の継続可能性も考える必要があります。
「売る」「貸す」「管理して残す」の判断を整理したいときは、実家をどうするか迷ったときの判断基準を参考にしてください。保有し続けるリスクを詳しく知りたい場合は、空き家を持ち続けるリスクとは?も役立ちます。
まだ判断材料がそろっていない方は、無料の見落とし発見診断シートで、費用・管理・家族の意向を一度整理してみてください。
売却を考え始めたら、維持費と売却の選択肢を比べる
空き家を売るかどうかは、維持費だけで決めるものではありません。ただ、年間負担や今後の修繕費を整理したうえで、現在の売却価格の目安を知ると、比較材料が増えます。
家どうする研究所では、運営者がHOME4Uを利用し、愛知県内の賃貸中の一棟物件について6社へ査定を依頼しました。これは相続した実家や空き家を査定した体験ではありませんが、査定を申し込んだ後の連絡や比較の進め方を知る参考になります。
売却価格の確認を進めたい方は、維持費や修繕費とあわせて判断材料を整理しておきましょう。
※連絡方法の希望を記載できる場合でも、希望どおりにならず電話連絡が入ることがあります。
※査定したからといって売る必要は一切ありません
※合わない会社は断ってOKです
実際に物件を保有・運用してきた立場から整理しています。
まとめ|年間費用を計算してから今後の方針を決めよう
空き家の維持費は、固定資産税だけではありません。火災保険、草刈り・見回り、修繕、光熱費や交通費まで含めて、年間で確認する必要があります。
今回の架空の試算では、通常年の支出が18万円、修繕に備える予備費が6万円で、年間24万円の資金計画となりました。これは平均額ではなく、計算方法を示すための例です。
まずは納税通知書や保険料、管理・修繕の記録を集め、自分の空き家の年間費用を書き出してみてください。そのうえで、今後使う予定、家族の意向、管理できるかどうかを踏まえて、売る・残す・貸すを検討しましょう。
※連絡方法の希望を記載できる場合でも、希望どおりにならず電話連絡が入ることがあります。
※査定したからといって売る必要は一切ありません
※合わない会社は断ってOKです
実際に物件を保有・運用してきた立場から整理しています。

