親が施設に入ったり、実家を相続したりして誰も住まなくなると、「空き家に火災保険は必要なのか」と迷いますよね。
保険料を払い続けるのは負担です。しかし、空き家だからといって火災や台風の被害がなくなるわけではありません。
しかも、住んでいた頃の火災保険が、空き家になっても同じ条件で使えるとは限らないことが重要です。
この記事では、空き家の火災保険に入らないリスク3つと、既存契約の確認方法、補償される損害・されない損害、売却までの備え方を整理します。個別の引受条件や保険金の支払可否は、必ず契約先の保険会社・代理店に確認してください。
結論|空き家でも火災保険は検討すべき。ただし先に契約条件を確認する
空き家の火災保険は法律で一律に加入が義務づけられているものではありません。それでも、火災や災害で建物が損傷した際の自己負担を考えると、加入・継続を検討する価値があります。
最初に行うのは、新しい保険を探すことではなく、現在の保険会社に「空き家になった後も補償されるか」を確認することです。
| まず確認すること | 確認する理由 |
|---|---|
| 現在の契約は有効か | 満期・保険料・契約者を確認するため |
| 空き家になったことを伝えたか | 用法・使用状況の変更が引受条件に関わる場合があるため |
| 建物が補償対象か | 商品によって空き家の引受可否が異なるため |
| 風災・水災・賠償の補償があるか | 火災以外の損害や第三者被害への備えを確認するため |
| 売却・解体・賃貸の予定があるか | 必要な保険期間や契約変更が変わるため |
「空き家でも大丈夫だろう」と自己判断せず、保険証券や契約内容を手元に用意して、保険会社の回答を確認しましょう。
住田さんの悩み

親の実家が空き家になりました。誰も住んでいないのに、今までの火災保険を続ける必要があるのでしょうか?
家守さんの整理

空き家でも火災や自然災害は起こります。ただ、住んでいる家と同じ保険が使えるとは限りません。まず契約先へ空き家になった状況を伝え、補償の対象になるか確かめましょう。
空き家は火災保険に入れる?居住中の契約を続けられる?
空き家の引受可否は保険会社・商品・使用状況で変わる
空き家だから必ず加入できないわけでも、必ず加入できるわけでもありません。家財が残っていて将来住む予定があるのか、完全に無人なのか、管理・建物の状態がどうかなどにより、商品ごとの取扱いが変わります。
例として、損保ジャパンの個人用火災総合保険「THE すまいの保険」は、空き家を原則として引受対象外としながら、家財が備わった季節利用の別荘などを例外にしています。一方、三井住友海上の「GK すまいの保険」では、空き家である期間が一時的で、自ら居住する予定や賃貸入居者の募集がある場合などに引き受ける例を案内しています。
いずれも特定商品の案内であり、すべての火災保険に共通する条件ではありません。
参考:損保ジャパン|空き家の引受可否(THE すまいの保険) / 三井住友海上|空家でも契約できますか?
空き家になったら、保険会社・代理店へ連絡する
火災保険には、建物の用途・用法などに関する告知事項・通知事項があります。契約後に変更した事情によっては、保険会社への連絡が必要です。契約内容と事故との関係などによって取扱いは異なり、「知らせなければ必ず不払い」とは限りませんが、連絡せずに放置するのは避けましょう。
日本損害保険協会も、用法の変更などは通知事項になる場合があると説明しています。参考:日本損害保険協会|火災保険の告知事項・通知事項
保険会社に伝える情報は、少なくとも「いつから空き家になったか」「家財の有無」「今後の居住・売却予定」「見回り状況」「建物の傷み」です。
親が亡くなった・相続した場合は契約者や被保険者も確認
実家を相続した場合は、保険に加入している人、補償を受ける人、建物の所有者の情報が合っているか確認しましょう。契約者が亡くなっている場合の承継・変更手続きも保険会社に確認します。
相続登記や遺産分割が未了であれば、その状態も正確に説明してください。誰が契約できるか、どの書類が必要かは契約内容により異なります。
空き家で火災保険に入らないリスク3つ
リスク① 火災・放火で建物が損傷すると修繕費等が自己負担になる
空き家は常に人がいるわけではないため、異常の発見が遅れる場合があります。もし火災で建物が大きく損傷し、適用できる保険がなければ、修繕や撤去などに費用がかかっても、原則として自分で負担することになります。
さらに、隣家からのもらい火でも、失火責任法のため、火元に重大な過失などがなければ賠償を求められない場合があります。自分の建物の損害に備えることには意味があります。
リスク② 台風・雹・雪・大雨による損害への備えがない
台風で屋根材が飛んだ、雹で窓や屋根が傷んだ、洪水で浸水した――こうした損害も、加入する火災保険の補償範囲によっては保険金支払いの対象となります。
ただし、風災と水災は補償の選択・支払条件が異なり、すべての商品で自動的に補償されるわけではありません。高台なのか、浸水想定区域なのか、立地も踏まえて確認します。
一方、古くなった屋根や壁からの雨漏り、自然な劣化や腐食を修理する費用は、原則として火災保険で補償されません。「空き家の雨漏りは全部保険で直せる」という理解は誤りです。
参考:日本損害保険協会|火災保険で補償される損害・補償対象外の例
リスク③ 近隣への被害に対する費用を負担する可能性がある
空き家では、屋根材の落下や老朽化した塀の倒壊などで、通行人や隣家に被害が及ぶことがあります。管理状況や事故原因によっては、所有者などが損害賠償責任を問われる可能性があります。
ここで注意したいのは、建物自体の火災保険と、他人への損害賠償を補償する保険は同じではないという点。必要に応じて施設所有(管理)者賠償責任保険など、所有・管理に伴う賠償リスクに対応できる商品や特約があるか確認しましょう。
また、火災を起こして隣家に延焼させても、失火責任法により常に法律上の賠償責任が発生するわけではありません。「類焼損害補償」と「賠償責任保険」は目的が異なる場合があります。保険会社に補償範囲を具体的に尋ねることが大切です。
空き家の火災保険で補償されるもの・されないもの
火災保険は「加入したら何でも直せる保険」ではありません。事故原因・対象物・契約した補償・免責金額などで支払可否が決まります。
| 損害・事故の例 | 補償を考えるときの注意点 |
|---|---|
| 火災・落雷 | 主な補償対象。ただし空き家として契約が有効か確認 |
| 台風・雹・雪で建物が破損 | 風災・雹災・雪災の補償条件を確認 |
| 洪水による浸水 | 水災補償の有無・支払条件を確認 |
| 配管事故による水濡れ | 水濡れ補償の有無・事故原因を確認 |
| 屋根や配管の自然な劣化・腐食 | 通常は補償対象外 |
| 地震・噴火・津波による火災や損壊 | 通常の火災保険では補償対象外。地震保険の対象・加入可否を別途確認 |
| 屋根材落下など第三者への損害 | 建物の保険だけで賠償を補償できるとは限らない |
住宅用の地震保険は火災保険とセットで加入する仕組みです。ただし、空き家の用途や契約区分によって付けられるかどうかも含め、契約先で確認してください。
空き家の保険料はいくら?金額だけで比較しない
空き家の火災保険料に、誰にでも当てはまる一律の金額はありません。建物の所在地・構造・築年数・補償額・免責金額・補償範囲・使用状況、そして引き受ける商品によって変わります。
「空き家なら年間○万円」と断定しても、ご自身の実家に当てはまるとは限りません。次の条件をそろえて見積もりを比較しましょう。
| 比較項目 | 確認する内容 |
|---|---|
| 空き家の引受条件 | 住居利用予定・管理状況・空き家期間など |
| 建物の保険金額 | 修繕・再建築等を考慮した評価と契約金額 |
| 補償範囲 | 火災、風災、水災、破損・盗難など |
| 免責金額 | 損害発生時に自己負担する金額 |
| 保険期間・解約 | 売却時に解約する際の手続き、返戻金の有無 |
| 第三者への賠償 | 建物の所有・管理に起因する事故を補償できるか |
保険料の安さだけで選ぶと、肝心な損害が補償されないこともあります。「空き家として加入できるか」が最初、その次が「必要な補償を選べるか」です。
売却予定の空き家は、保険をいつまで続ければいい?
売却するつもりでも、買主への引き渡しまでは建物の損害リスクが残ります。保険の補償終了日と、売買契約・引き渡しの予定日を照らし合わせておきましょう。
特に確認したいのは、次の点です。
- 現在の火災保険は何日まで有効か
- 売却・譲渡の予定を保険会社にいつ通知するか
- 売却前に空き家向け契約へ切り替える必要があるか
- 売却時の解約方法と返戻金の計算方法
- 解体予定なら、解体前後の保険の取扱い
契約更新や解約の扱いは保険会社ごとに違います。売買契約を結んだだけで自動的に全ての補償が終了すると決めつけず、所有権移転・引き渡しのタイミングを伝えて相談してください。
保険とあわせて必要な空き家管理
火災保険は損害に備える仕組みであり、空き家を管理しなくてよいという意味ではありません。
- 定期的に建物の外観や施錠状態を点検する
- 台風・大雨後に屋根や雨どいなどの異常を確認する
- 雨漏り・漏水・設備の傷みを早めに把握する
- 庭木や塀が道路・隣家に影響していないか見る
- 近所や管理を頼む人との連絡先を決めておく
実家の管理を続ける負担そのものが気になる場合は、空き家の維持費はいくら?年間費用の内訳も参考にしてください。
雨漏りの放置による影響は、空き家の雨漏りを放置するとどうなる?で詳しく整理しています。
実家の火災保険を見直すためのチェックリスト
保険証券を用意して、以下の項目を順番に確認しましょう。
- 契約先と満期:現在の保険会社・代理店、証券番号、満期日は分かるか
- 建物の使用状況:誰も住まなくなった日、再入居や売却の予定を説明できるか
- 契約変更:空き家になったことや名義変更について連絡したか
- 補償:火災・風災・水災・地震・賠償をそれぞれ確認したか
- 建物と家財:どちらが保険の対象になっているか把握したか
- 管理:建物の傷みと見回り状況を把握しているか
- 期間:売却・解体・賃貸の予定と保険の契約期間を合わせて考えたか
契約書や保険証券に書かれていないことは、その場で推測せず、保険会社・代理店に確認するのが確実です。
よくある質問
Q.空き家になったら火災保険は自動的に無効になりますか?
一律に自動無効になるとは限りません。ただし、商品によっては空き家の引受対象外となったり、手続きが必要だったりします。空き家になった事実を契約先に伝え、今の契約を継続できるか確認しましょう。
Q.空き家の火災保険は義務ですか?
法律で一律に加入を義務づけるものではありません。ただし、住宅ローンなど契約上の条件がある場合は別途確認が必要です。未加入なら損害を自己負担する可能性を考えて判断します。
Q.築年数が古い実家でも加入できますか?
建物の状態や管理状況、保険会社の商品によって異なります。古いから必ず加入不可、というわけではありませんが、引受条件に制限がある場合があります。
Q.雨漏りしたら保険金が出ますか?
事故原因によります。風災など契約上の対象事故による損害なら補償される場合がありますが、経年劣化や放置による傷みは通常対象外です。原因を決めつけず契約先に相談してください。
Q.空き家からの火災で隣家に燃え移ったら、必ず賠償する必要がありますか?
必ずしもそうではありません。失火責任法により、通常の過失による失火について損害賠償責任が限定される場合があります。ただし重大な過失などがあれば別です。賠償責任保険や類焼損害補償についても個別に確認してください。
Q.売却予定なら火災保険をすぐ解約してもよいですか?
売買契約から引き渡しまでの間にも事故は起こり得ます。契約を解約する前に、売却日程・補償対象期間・返戻金などを保険会社へ確認しましょう。
判断に迷っている方へ|保険料と実家の将来を分けて考える
火災保険の見直しは、実家をこれからどうするか考えるきっかけにもなります。
空き家として持ち続けるなら、保険料だけでなく、固定資産税、修繕費、草刈り、管理の手間などもかかります。一方、売却する予定があるなら、引き渡しまでの補償と、売るための準備を並行して考える必要があります。
今後の使い道に迷っている場合は、実家をどうするか迷ったときの判断基準で「売る・残す・貸す」を整理してみてください。
また、今どこを見落としているのか把握したい方は、無料の「見落とし発見診断シート」も利用できます。
売ることを検討し始めた段階なら、空き家の価格の目安を確認することも判断材料になります。ただし、査定を依頼することと売却を決めることは別。複数社に依頼すれば電話やメールが来る可能性もあるため、対応できる範囲で比較しましょう。
※連絡方法の希望を記載できる場合でも、希望どおりにならず電話連絡が入ることがあります。
※査定したからといって売る必要は一切ありません
※合わない会社は断ってOKです
実際に物件を保有・運用してきた立場から整理しています。
次に読む記事
空き家を持ち続けるリスクとは?:空き家の管理・防犯・近隣問題など、保険以外の論点を整理しています。
空き家の雨漏りを放置するとどうなる?:劣化による雨漏りの影響と、早めに確認したいことを説明しています。
空き家の維持費はいくら?:火災保険料も含めて、持ち続けるコストを整理できます。
まとめ|空き家の火災保険は「継続できるか」から確認する
空き家だから火災保険が不要とは限りません。火災・自然災害による建物の損害に備える必要がある一方、空き家を引き受けるかどうかは商品・契約条件によって異なります。
最初に確認したいことは、次の3つです。
- 今の保険会社に空き家になったことを伝え、契約継続の可否を確認する。
- 火災・風災・水災と、経年劣化・第三者賠償の違いを理解する。
- 売却・解体・保有の予定に合わせて補償と期間を見直す。
契約の有無だけで安心せず、保険証券・重要事項説明書・約款と保険会社の回答を確認しましょう。そして、保険と定期的な管理をセットで考えることが大切です。
※連絡方法の希望を記載できる場合でも、希望どおりにならず電話連絡が入ることがあります。
※査定したからといって売る必要は一切ありません
※合わない会社は断ってOKです
実際に物件を保有・運用してきた立場から整理しています。

