親の家を将来どうするか。
この話は、家族の中でも切り出しにくいテーマです。
- 「まだ元気だから大丈夫」
- 「今話すと親が嫌がるかもしれない」
- 「相続の話をしているみたいで気が引ける」
そう感じて、なかなか話せない方は多いと思います。
実際、親の家の話は簡単ではありません。
家には、親の暮らしがあります。
家族の思い出もあります。
お金や相続の話にもつながるため、どうしても慎重になります。
ただ、親の家の問題は、何も決めないまま相続を迎えると、家族の間で揉めやすくなります。
誰が住むのか。
売るのか、残すのか。
誰が管理するのか。
固定資産税や修繕費を誰が負担するのか。
こうしたことが決まっていないと、相続後に慌てて話し合うことになります。
大切なのは、いきなり結論を出すことではありません。
まずは、親の希望や家族の考えを少しずつ共有することです。
この記事では、親の家をどうするかについて、相続前に家族で話しておきたいことを整理します。
■ この記事でわかること
✓ 親の家で揉めやすい理由
✓ 相続前に家族で話すべきこと
✓ 親に話を切り出すときの考え方
✓ 売る・残す・貸すを考える前の整理
✓ 後悔しないための判断ポイント
■ 結論:親の家は「相続後」ではなく「元気なうち」に方向性を話しておく
親の家については、相続が起きてから考えるより、親が元気なうちに方向性を話しておく方が安心です。
もちろん、いきなり「家を売るのか」「誰が相続するのか」と詰める必要はありません。
最初は、親の希望や家族の考えを確認するだけでも十分です。
大切なのは、次のようなことを少しずつ共有しておくことです。
- 親は家をどうしたいと思っているのか
- 子ども側に住む予定があるのか
- 売る、残す、貸すのどれが現実的か
- 空き家になった場合、誰が管理するのか
- 税金や修繕費を誰が負担するのか
親の家は、単なる不動産ではありません。
思い出、家族関係、お金、管理の負担が重なるため、後回しにすると話し合いが難しくなりやすいです。
元気なうちに話すことは、親を急かすことではありません。
家族が困らないように、早めに整理しておくための準備です。
■ 住田さんの悩み

親の家のことを、元気なうちに話した方がいいのかなと思っています。でも、相続の話みたいで切り出しにくいです。親はまだ元気なので、「そんな話を今するの?」と思われそうで、なかなか言い出せません。ただ、将来空き家になったら誰が管理するのか、兄弟でどう話せばいいのか、固定資産税や修繕費はどうするのかも気になります。まだ売るとか残すとか決めたいわけではありません。でも、このまま何も話さないでいて、本当に大丈夫なのか不安です。
■ 家守さんの整理

親の家の話は、たしかに切り出しにくいものです。ただ、何も話さないまま相続を迎えると、売るのか残すのか、誰が管理するのか、費用をどう負担するのかで迷いやすくなります。最初から結論を出す必要はありません。まずは、親の希望、家族の考え、家の状態、管理の負担を共有するところから始めましょう。「家をどうするかを決める話」ではなく、「家族が困らないように確認しておく話」と考えると、少し切り出しやすくなります。
親の家で相続後に揉めやすい理由
親の家は、現金のように簡単に分けられません。
そのため、相続後に家族の意見が分かれやすくなります。
揉めやすい理由を整理します。
① 実家への思い入れが人によって違う
親の家には、家族それぞれの思い出があります。
ただし、思い入れの強さは人によって違います。
- 親と一緒に長く暮らしていた人
- 遠方に住んでいてあまり関わっていない人
- 将来住みたいと思っている人
- 管理できないから売りたいと思っている人
同じ家でも、感じ方はそれぞれ違います。
その違いを話さないまま相続を迎えると、「残したい人」と「売りたい人」で意見が分かれやすくなります。
② 管理する人が決まっていない
親が住まなくなった後、家は空き家になることがあります。
空き家になれば、管理が必要です。
たとえば、次のようなことがあります。
- 換気
- 掃除
- 草刈り
- 庭木の管理
- 郵便物の確認
- 雨漏りの確認
- 近隣対応
- 火災保険の管理
- 固定資産税の支払い
誰が管理するのか決まっていないと、近くに住んでいる人や気づいた人に負担が偏りやすくなります。
最初は小さな負担でも、何年も続くと不満につながります。
③ 費用負担が曖昧になりやすい
親の家を残す場合、費用もかかります。
固定資産税、火災保険、修繕費、草刈り費用、庭木の剪定費用などです。
空き家になっても、費用は止まりません。
誰がいくら負担するのか決めていないと、誰か一人が立て替え続けたり、修繕が必要になったときに揉めたりすることがあります。
相続後に慌てて決めるより、親が元気なうちに費用の考え方を共有しておく方が安心です。
相続前に家族で話すべきこと5つ
親の家について、相続前に話しておきたいことは大きく5つあります。
いきなり全部を決める必要はありません。
まずは、家族で確認するところから始めましょう。
① 親は家をどうしたいと思っているか
最初に確認したいのは、親の希望です。
親がその家にどんな思いを持っているのかを聞いておきましょう。
たとえば、次のようなことです。
- できれば住み続けたいのか
- 将来は子どもに残したいのか
- 売ってもよいと考えているのか
- 誰かに住んでほしいのか
- 空き家にしたくないと思っているのか
親の希望を聞かずに子ども側だけで話を進めると、後から感情的なズレが出ることがあります。
まずは「どうしたいと思っている?」と聞くことが大切です。
ただし、親の希望だけで決めるのではなく、子ども側が管理できるかもあわせて考える必要があります。
② 子ども側に住む予定があるか
次に、子ども側にその家を使う予定があるかを確認します。
誰かが住む予定があるなら、残す選択肢が現実的になることがあります。
一方で、誰も住む予定がないなら、空き家になる可能性があります。
確認したいのは、次のような点です。
- 兄弟の誰かが住む予定はあるか
- 将来戻る可能性は本当にあるか
- いつ頃使う予定なのか
- それまで誰が管理するのか
- 住む場合、他の兄弟との調整はどうするのか
「いつか使うかもしれない」という理由だけで残すと、管理費や修繕費だけが続くことがあります。
使う予定があるなら、できるだけ具体的に考えておきましょう。
③ 売る・残す・貸すの方向性
親の家の選択肢は、大きく分けると次の3つです。
- 売る
- 残す
- 貸す
それぞれにメリットと負担があります。
- 売れば、管理の負担から離れやすくなります
- 残せば、思い出のある家を維持できます
- 貸せば、家賃収入を得られる可能性があります
ただし、残す場合は管理が必要です。
貸す場合は、修繕や入居者対応、空室リスクがあります。
どれが正解というより、その家と家族の状況に合っているかで判断することが大切です。
④ 空き家になった場合、誰が管理するか
親が施設に入ったり、亡くなったりして家が空き家になる場合、誰が管理するかを決めておく必要があります。
空き家を放置すると、劣化や近隣トラブルにつながることがあります。
決めておきたいのは、次のようなことです。
- 誰が定期的に見に行くのか
- 郵便物を誰が確認するのか
- 草刈りや庭木の管理を誰がするのか
- 雨漏りや破損を誰が確認するのか
- 近隣から連絡が来たら誰が対応するのか
- 管理を業者に頼むかどうか
近くに住んでいる人に負担が偏らないように、作業と費用の分担も話しておきましょう。
⑤ 費用をどう負担するか
親の家を残す場合、費用の話は避けて通れません。
固定資産税や火災保険は毎年かかります。
古い家であれば、修繕費も必要になることがあります。
話しておきたい費用は、次の通りです。
- 固定資産税
- 火災保険
- 電気・水道の基本料金
- 草刈り費用
- 庭木の剪定費用
- 修繕費
- 空き家管理費
- 解体費
費用の話は、後回しにすると揉めやすいです。
誰が負担するのか、兄弟で分けるのか、親の預貯金から出すのか。
はっきり決められなくても、考え方だけは共有しておきましょう。
親に話を切り出すときのコツ
親の家の話は、切り出し方が大切です。
特に難しいのは、親がまだ元気なときです。
元気だからこそ、こちらから話すと「もう先のことを考えているのか」と受け取られないか不安になります。
子ども側としても、相続やお金の話をしたいわけではなく、ただ将来困らないように確認しておきたいだけ、ということも多いはずです。
だからこそ、最初から売る・残す・相続を決める話にしないことが大切です。
いきなり「相続の話をしよう」「家をどうするの」と言うと、親が身構えることがあります。
最初は、軽い確認から始める方が話しやすいです。
たとえば、次のような聞き方です。
- 「この家、将来どうしたいと思っている?」
- 「もし住まなくなったら、どうするのがいいと思う?」
- 「管理が大変になったら、誰に相談したい?」
- 「書類や権利関係はどこにある?」
- 「固定資産税や保険の書類はまとめてある?」
大切なのは、親を責めたり、急かしたりしないことです。
「家族が困らないように確認しておきたい」という姿勢で話すと、受け止めてもらいやすくなります。
話し合いで確認しておきたい書類
親の家について話すときは、書類の場所も確認しておくと安心です。
相続が起きてから探すと、手続きに時間がかかることがあります。
確認したい書類には、次のようなものがあります。
- 登記関係の書類
- 固定資産税の通知書
- 火災保険の書類
- 土地や建物の図面
- 境界に関する資料
- リフォームや修繕の記録
- 住宅ローンがあればその書類
- 賃貸や使用貸借に関する書類があればその契約書
すべてを完璧にそろえる必要はありません。
まずは、どこに何があるかを家族で把握しておくことが大切です。
書類が見つからない場合は、必要に応じて専門家に相談しましょう。
話さないまま相続を迎えると起きやすい問題
親の家について何も話さないまま相続を迎えると、次のような問題が起きやすくなります。
① 売るか残すかで意見が割れる
兄弟の中で、売りたい人と残したい人に分かれることがあります。
誰かが強い思い入れを持っている一方で、別の人は管理や費用を心配していることもあります。
相続後は手続きや気持ちの整理も重なり、冷静に話しにくくなることがあります。
事前に考えを共有しておくことで、急な対立を防ぎやすくなります。
② 空き家として放置される
話し合いが進まないまま時間が過ぎると、実家が空き家として放置されることがあります。
空き家は、放置すると劣化が進みます。
雨漏り、草刈り、庭木、害虫、火災保険、固定資産税など、管理すべきことは続きます。
結論を先送りしている間にも、費用とリスクは積み上がります。
③ 兄弟間の不満が大きくなる
管理や費用の負担が誰かに偏ると、兄弟間の不満につながります。
- 「自分だけが見に行っている」
- 「固定資産税を立て替えている」
- 「他の兄弟は口だけで何もしない」
このような不満がたまると、家族関係に影響することがあります。
実家を残すなら、負担をどう分けるかを必ず話しておきましょう。
判断に迷ったときの整理方法
親の家をどうするかで迷ったときは、感情、現実、将来の3つに分けて考えると整理しやすくなります。
① 感情:家族の思い
まずは、家族の思いを整理します。
- 親が残したいと思っているのか
- 子ども側が手放したくないと思っているのか
- 思い出があるから迷っているのか
これらの感情は大切です。
ただし、感情だけで決めると、後から管理や費用の負担で苦しくなることがあります。
思いを大事にしながら、現実面も一緒に見ていきましょう。
② 現実:費用と管理
次に、現実的な負担を確認します。
親の家を残す場合、必ず費用と管理が発生します。
確認したいのは、次のような点です。
- 固定資産税はいくらか
- 火災保険はどうするか
- 修繕費は今後かかりそうか
- 草刈りや庭木管理は必要か
- 誰が見に行けるか
- 遠方なら交通費や時間はどれくらいか
ここを具体的にすると、「残したいけれど管理は難しい」「売る前に相場を知りたい」など、次の行動が見えてきます。
③ 将来:誰がどう使うのか
最後に、将来の使い道を考えます。
- 誰かが住むのか
- 貸すのか
- 売るのか
- しばらく空き家として保有するのか
ここが曖昧なままだと、結論を先送りしたまま費用だけが続きます。
「いつか使うかも」ではなく、誰が、いつ、どう使うのかを考えることが大切です。
使う予定がないなら、売却も含めて考えてよいです。
まずは家族で共有するだけでもよい
親の家について、最初から結論を出す必要はありません。
最初の目標は、家族で情報を共有することです。
家族で話すというと、すぐに結論を出さなければいけないように感じるかもしれません。
でも、最初から「売る」「残す」「誰が相続する」と決める必要はありません。
むしろ最初は、親がどう思っているのか、子ども側が何を不安に感じているのかを共有するだけでも十分です。
たとえば、次のようなことを共有するだけでも前進です。
- 親の希望
- 子ども側の考え
- 家の状態
- 年間の維持費
- 管理できる人
- 将来使う可能性
- 売る場合の相場感
私自身も不動産を所有しているので感じますが、家は持っているだけで終わりではありません。
管理、税金、修繕、草刈り、保険、近隣対応など、思っている以上に判断することがあります。
親の家も同じです。
思い出を大切にするためにも、現実の負担を見えるようにしておくことが大切です。
専門家に相談した方がよいケース
親の家について、家族だけで判断しにくい場合は、専門家に相談することも考えましょう。
たとえば、次のような場合です。
- 相続人が複数いる
- 兄弟で意見が分かれている
- 名義や登記が分からない
- 税金が心配
- 親が認知症になる前に整理したい
- 実家以外の財産もある
- 売却や賃貸の判断に迷っている
相談先は内容によって変わります。
登記や名義は司法書士、税金は税理士、相続トラブルは弁護士、不動産の価格や売却は不動産会社が相談先になります。
すべてを自分たちだけで決めようとせず、必要に応じて専門家の力を借りましょう。
判断に迷っている方へ
親の家を将来どうするか迷っているときは、いきなり売る・残す・貸すを決める必要はありません。
まずは、家族で何を見落としているのかを整理することが大切です。
たとえば、次のような点です。
- 親は家をどうしたいと思っているのか
- 子ども側に住む予定はあるのか
- 家の名義や書類の場所を確認できているか
- 空き家になった場合、誰が管理するのか
- 固定資産税や修繕費を誰が負担するのか
- 売る・残す・貸すの選択肢を比較できているか
- 実家の価格の目安を確認できているか
ここが整理できると、親に何を聞けばよいのか、兄弟で何を話せばよいのかが見えやすくなります。
親の家を売る・残す・貸すのどれがよいか迷っている場合は、まずはこちらの記事で判断基準を整理してみてください。
▶ 実家をどうするか迷ったときの判断基準|売る・残す・貸すの考え方
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将来、売る・残す・貸すを考えるときに、維持費や管理負担と比べるための材料です。
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■ 次に読む記事
親の家をどうするか迷っている方は、まず全体の判断基準を整理しておくと考えやすくなります。
売る・残す・貸すの考え方はこちらで整理しています。
▶ 実家をどうするか迷ったときの判断基準|売る・残す・貸すの考え方
親の家について兄弟で話し合う必要がある方は、こちらの記事も参考になります。
実家を売るのか、残すのか、誰が管理するのかを考える前に、兄弟間で確認しておきたい点を整理できます。
▶ 実家を兄弟でどう分ける?揉めないための判断ポイント5つ【結論】
相続後に実家で揉める原因を先に知っておきたい方は、こちらの記事も確認してみてください。
実家への思い入れ、管理の負担、費用の分担など、家族間でトラブルになりやすいポイントを整理できます。
まとめ
親の家をどうするかは、相続が起きてから考えると揉めやすいテーマです。
家には思い出があります。
一方で、管理、税金、修繕、草刈り、保険などの現実的な負担もあります。
相続前に家族で話しておきたいことは、次の5つです。
- 親は家をどうしたいと思っているか
- 子ども側に住む予定があるか
- 売る・残す・貸すの方向性
- 空き家になった場合、誰が管理するか
- 費用をどう負担するか
大切なのは、いきなり結論を出すことではありません。
まずは、親の希望、家族の考え、家の状態、費用、管理の現実を共有することです。
元気なうちに話すことは、親を急かすことではありません。
家族が困らないように、早めに準備しておくことです。
いきなり結論を出す必要はありません。
まずは、親の希望を聞く、書類の場所を確認する、家族で考えを共有するなど、できるところから少しずつ始めてみましょう。
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